2011年12月
「西宮市新病院基本構想(素案)へのパブリックコメント」ガイド
★Eメールでの意見提出はこちら(市のサイト)のリンク先から。
現在西宮市では、多額の税金投入を続けながら赤字経営から脱却できない「西宮市立中央病院」の今後についての議論がおこなわれています。
経営状況が好転せず、施設が老朽化していることもあり、市当局は移転再整備の方向で話を進めようとしています。
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中央病院への税金投入 健全化に取り組みだした平成15年度から平成22年度までに市が繰り入れた額は、救急医療に対するものなど国の基準に基づくものが約56.5億円、病院経営支援のための基準外繰入が約50億円(うち長期借入金が21億円)にのぼります。合わせて100億円以上になる大金です。
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しかしながら、現状の病院は75%という高い給与費比率(54%程度にまで下げる必要がある、と検討委員会も指摘)が最大の経営上の問題であり、その解決を図ることこそが最優先であると、議会では議論されています。
| 議会では平成22年度決算の認定に際して、「西宮市立中央病院の経営健全化は移転の大前提であり、不良債務の発生抑制対策、特に、給与水準の是正及び運営体制の効率化は喫緊の課題と考える。」「年功重視の給与体系から業績スキル重視の給与体系への変更並びに医業収益に対する給与費比率の適正化に速やかに着手することを求める。」などを訴える「決議」を賛成多数で採択しています。 |
また、ほんとうに市に必要な医療機能を担うのであれば税金の投入も福祉として住民は受け容れるべきかもしれませんが、その「現在の市で不足していて、公立病院が提供するべき医療とは何か」の検証は非常に曖昧かつ論理的証明が不足しており、税金を投入する必然性に疑問が残ります。
さらには「公立病院」としての存続ありきで議論が進められていますが、住民にとって必要なのは「医療環境」であって、必ずしも公立病院としての存続とは限りません。公立病院として廃止した上での民間移管や指定管理者制度導入による病院存続など、民間の経営手法による病院存続のほうが、効率的に品質の高い医療サービスを提供できるのは自明です。(検討委員会でも、民間移管や指定管理者制度は、なぜかじゅうぶんな議論なく選択肢として放棄されています。)他市でも、公立病院をそのまま公立病院として存続させつつ経営改善を成し遂げた事例はきわめて稀で、公務員として雇用されていた病院職員(特に看護士)の合理化は、病院改革の最低条件です。
何も、病院を潰そうとかいうのではありません。総事業費が100億円(=市内1世帯あたり5万円)という高額な投資が必要になってくる一大事業ですから、きちんと合理的な議論を経て、一部の利害関係者に慮ることなく、政策推進をする必要がある、というだけのことです。
市の「公立としての存続ありきの今後の方針」や、「経営改善の議論を後回しにして移転先などの議論ばかり先行させる政策推進」にブレーキをかける必要があります。ほんとうに西宮に必要な病院とは何か、それに最も効率的に運営する形態はどのようなものか、最も住民の納得できる税金の使われ方はどのようなものか、それをきちんと議論させるために、ひとりでも多くの方にパブリックコメントに協力していただきたいと思います。
パブリックコメントの期間は平成24年2月10日まで
★Eメールでの意見提出はこちら(市のサイト)のリンク先から。
パブリックコメントとは、市が規則や計画などを制定しようとするときに、広く公に(Public)意見や改善提案(Comment)を求める手続きです。
「西宮市新病院基本構想(素案)」へのパブリックコメントの期間はすでに始まっており、締切は平成24年2月10日までです。
西宮市民の方は「住所、氏名、年齢、性別、職業、連絡先」を、市内在勤・在学の方は「その学校又は勤務先の名称」をご記入のうえ意見を寄せてください。
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とりあえず「移転先の場所の話より、給与費比率の適正化が先です」だけでもいいので、出してください。
↓以下、参考になさってください。
●意見提出手続(パブリックコメント)実施要領<様式2号>(PDF:11KB)
●西宮市新病院基本構想(素案)(PDF:155KB)
●西宮市新病院基本構想(素案)【概要版】(PDF:523KB)
意見のポイント
★Eメールでの意見提出はこちら(市のサイト)のリンク先から。
■1■これまでの経営健全化の失敗原因の検証がない=「給与制度の適正化」の具体的な方法や目標に関する記述がない
「基本構想(素案)」のP1には以下のようにあります。
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(1)これまでの経営改善の取り組み 度重なる「経営健全化計画」や「改革プラン」の取組みにもかかわらず、大きな成果を上げてこなかったのは、立地の問題もあるが、根本的な原因は、医療環境の変化に応じて適切な投資や体制の再構築などを行ってこなかったことにある。 これは、近年とりわけ厳しさを増している病院経営を、経営に適さない「行政」が、その仕組みの中で行ってきたことに起因する。 この根本的な原因を取り除かない限り、経営の改善は望めない。 |
また、「経営に適さない『行政』」と直言してあるにもかかわらず、民間移管や指定管理者の活用ではなく、「地方公営企業法の全部適用(つまりは普通に『行政』の病院)」で新病院を運営しようとしていることじたいが、矛盾をはらんでいます。
「西宮市立中央病院の今後の方向性について」のP32に以下のようにあります。
| 中央病院が、その給与水準のまま急性期に特化し、7:1看護体制を採用した場合、医業収益に占める給与費の割合は75.1%となり、黒字が確保できる水準の54%と大きな隔たりがある。 |
■2■議論のスキームが不適正である
そもそも新聞に「病院がアサヒビール跡地に移転」と出るなど、移転先の議論が話題になっていますが、移転先がどこか、などより先にすべき議論があります。
「1)考え得るすべての経営改善」→「2)必要な医療機能の検討」→「3)最適な運営形態の検討」→「4)最適な用地の検討」であるべきです。
まずは、給与制度改変やリストラを含む「1)考え得るすべての経営改善」をしてからあらゆる議論は始まるべきです。これまで100億円以上の税金を投入しながら経営改革ができていないにもかかわらず、その原因や責任を検証しないまま新病院の議論をするなど、無責任です。計画を議論している間にも、市立中央病院には税金が投入され続けています。
次に「2)必要な医療機能の検討」をする必要があります。それを既存の市内の民間病院でできる方法がないのかを検討すべきです。その上で、「行政が担うべき(他では担うことができない)医療機能」を洗い出すべきです。
そして、次に民間委託や指定管理者制度を含む「3)最適な運営形態の検討」に入るべきです。これまでの改革失敗の経緯を顧みれば、新病院を行政が運営することがいかに不適正であるかは誰の目にも明らかです。また、この段階で、黒字にできる(赤字を最低限に抑えることができる)規模や診療科も検討されるべきです。
そしてやっと「4)最適な用地の検討」になります。小児病院であれば交通の利便性が重要です。救急なら幹線道路に面している必要性があります。療養型なら郊外でじゅうぶんです。市内の既存病院の分布も考慮に入れて検討すべきです。
現在の市の構想は「公立病院ありき」「"癌の病院をつくりたい"ありき」「アサヒビール跡地移転ありき」であり、合理的な議論の結果とは言いがたいものです。「公立病院ありき」は現在の公務員の既得権益を守るために他なりません。「癌の病院」は医者のエゴをニーズより優先させている可能性があります。「アサヒビール跡地移転ありき」は、住民にとって不明瞭な議論です。合理的な議論の結果がこのようなものであれば受け容れることもできますが、議会でも合理的な説明は為されていません。
■3■「中央病院の果たすべき役割」の洗い出しの論証が薄く、矛盾をはらんでいる
「基本構想(素案)」のP2から「中央病院の必要性について」という記述があり、P3には「果たすべき役割」として「救急と癌を中心とした急性期病院として機能する」とあります。
確かに、市内の救急医療体制の整備は住民の安心のためにはたいへん重要です。しかし、ほんとうに本市を取り巻く救急医療体制のなかで現在の中央病院が必要とされているのかの検証が希薄です。現状は3次救急を県立西宮病院と兵庫医科大学病院が担い、1次・2次を協立・笹生・渡辺などの民間病院と市立中央病院で担っていますが、現実にそのなかでほんとうに果たすべき役割を果たせているのかが検証されていません。
また、救急の中でも重要性の高いものは、夜間の消化器内科と整形外科、それと小児救急です。決して「癌」ではありません。「癌患者等が、高度な医療を得意とする大阪府などに流出しているとみられ」と書かれていますが、これはほんとうに解決すべき課題とは言えません。現実的に「癌」は、そう診断されれば、その癌の得意な医者を探して紹介で罹るものです。癌に特化した病院は必ずしも市内である必要はありません。
「救急」と「癌」は専門性を高めようとすれば両極端な機能です。
いずれにしても、この点に関しては高度に専門的な分析が必要であり、これまでの検証ではあきらかに不足しています。単に「癌の病院をつくりたい」と言っているようにしか見えません。
そもそもこの「役割」の議論がなければ、あらゆる税金投入は許されないはずです。単に「赤字を出さない病院=儲かる病院をつくろう」というのでは、単に民間既存病院の事業活動のじゃまをするだけです。西宮は病院が多いですから、むやみに競争するより、連携と役割分担と共栄を考えるほうが先ですし、兵庫医大病院をはじめとする市内の病院は競争力を高めるために増床しています。不当に高い給与費比率を解決するなどの経営改善は必要ですが、その議論と「儲かる病院作り」を混同してはなりません。住民に必要な医療機能を果たす病院が最高度に効率的な経営をしたうえでの税金投入であれば、何も問題はありません。ほんとうに市に不足している医療機能を果たすための税金投入であれば、住民は受け容れなくてはなりません。現在の病院が、市に必要な機能を果たしているか疑問であり、経営改善に取り組んでいない、にもかかわらず多額の税金が投入されている、ということが問題なのであって、税金投入じたいが問題ではありません。西宮に必要なのは「儲かる病院」ではなく「住民に必要な機能を適正に果たす病院」です。
■4■規模に関する結論(200床に減床)について、疑義がある
現在の中央病院は許可病床数257床・稼働病床数193床ですが、新病院は「200床を基準とする」とあります。なぜ減らすのでしょうか。
規模の小さい病院では、医師の獲得が難しくなることから、医療の品質を担保することが困難になります。また、高額な医療機器を導入しても稼働して点数を稼がなければペイしません。
また、病院が多数存在し、しかもその病院は軒並み増床を計画しています。200床に減床する公立病院が西宮市内で患者の信頼を得ることは困難です。競争に負け、淘汰されるでしょう。
■5■事業費が高すぎる
中央病院の現在の医業収益は年間で45億円です。一般的な病院で年間の医業収益を超える建設投資はペイしません。
PFI手法の活用や、民間移管や指定管理者制度によって、初期投資を抑える必要があります。
■6■アサヒの跡地は津波予測の見直しでは冠水する
見直された津波予測では、アサヒビール工場跡地は冠水することになっています。三次救急を担う兵庫医大病院と県立西宮病院も同様に市南部にあります。
他自治体では新築中の公共施設も、津波予測の見直しを受けて、建設計画自体を見直しているところもあります。
他にも課題はあると思います。ぜひ、「西宮市新病院基本構想(素案)」をご覧になっていただき、意見をください。
もし、「よくわからない」ということであっても、上記の意見を参考にパブリックコメントを出してください。






