■profile 【今村岳司/いまむらたけし】 西宮市議会議員4期目 1972年、西宮市生まれ。 甲陽学院高・京都大法学部卒■浜学園講師・リクルートを経て99年、市議トップ当選(26歳)
先の6月定例会で、「西宮市公共施設白書(案)」が発表されました。そこに報告されたのは、公共施設の改築・修繕にかかる経費が今後50年間で合計4760億円という膨大な金額に上るという試算でした。これは、年あたりに直すと95億円となり、実際に、このところ本市で、施設の改築・修繕に費やされている金額とは大きく乖離したものでした。 白書によると、改築・修繕の経費に加え、さらに、施設維持経費として年あたり63億円かかると試算されており、つまりは現状の施設を維持するだけで年間158億円が必要ということになります。
このような現実を踏まえれば、従前から指摘しているとおり、全庁挙げての公共施設マネジメントが急務であることはあきらかです。白書もそのような問題意識に立っており、第5章で「具体的な対応策」として以下の3点を提示しています。
いっぽう、「白書」からは、西宮市の公共施設の特徴が見てとれます。
まずは、市営住宅が不適正に多いということです。「白書」によれば、全公共施設のうち、住宅施設は42%を占めています。 ※白書の全施設(518施設 149万1888平米)中、住宅施設が 82施設 61万8921平米(面積42%):280棟・10000戸 すでに公共施設白書をまとめた他の自治体では、この比率は概ね5%程度です。 本市では、震災直後に大量に建て増しされたまま減らさずにいるために、このような問題が生じてしまっています。市営住宅という施策には、「生活保護の住宅扶助」という同様の政策目的を果たす施策が存在しているため、優先度が高い施策ではありません。明確に市の方針として「市営住宅の大規模な削減」を掲げ、最優先して廃止の対象とすべきです。 ただ、この点に関しては、「ストック総合活用計画」(H14-23)に続く「西宮市住宅管理・整備計画」(H24-33)を現在、都市局で策定中のため、今回の質問では論点から外します。
「白書」から読み取れることとして次に挙げられるのは、どの自治体でも共通することですが、教育委員会関連の施設が多いということです。学校施設が87施設・約54万平米、社会教育関連施設が54施設・約8万平米と、合わせて全公共施設のうちの41%を占めます。市営住宅を除いた中では、7割に上ります。
白書の指摘する「施設の統廃合」「不要となる施設の転活用」を実施していくためには、これら教育財産が当然最大の対象となってきます。しかし、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の23条で教育財産の管理は教育委員会の権限とされており、今後、公共施設マネジメントを進めていくにあたって、教育財産が市長の管理外になっている情況は、全庁的な視野からの統廃合・再編成・転活用を推進していく中で、大きな障害となる可能性があります。 しかし、同法24条には、教育財産の取得および処分は自治体の長の権限と定められております。また、地方自治法238条の2では、公有財産に関する長の総合調整権に関して規定されております。
地方自治法 (公有財産に関する長の総合調整権)第二百三十八条の二 普通地方公共団体の長は、公有財産の効率的運用を図るため必要があると認めるときは、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものに対し、公有財産の取得又は管理について、報告を求め、実地について調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
教育財産が市長の管理外にあることによって、最適に活用されていないということは、その顕著な例として、廃校になった施設の現状を見てみればあきらかです。 まずは、総合教育センターおよび中央体育館分館です。この施設は、昭和58年まで芦原小学校でしたが、廃校後、昭和60年より、現在の用途とされています。土地の総面積は13430.06平米JR西宮駅徒歩5分、阪急西宮北口駅徒歩10分の好立地であり、現在、最も有効な用途に使われているとは到底言えません。西宮市立中央病院移転整備等検討委員会は病院の移転先の検討をしておりましたが、委員会が移転先の条件として挙げているものにこの施設が一致するにもかかわらず、検討対象地にはしていません。 ※西宮市立中央病院移転整備等検討委員会による「望ましい立地」 の条件 (1)延床14000平米を確保できること (2)阪神西宮・JR西宮・阪急西宮北口周辺(3)市が保有している土地を活用するなど事業費を抑制できること 次に旧高須東小学校です。この施設は廃校後は使われておらず、また、今後のことも決まっておりません。しかしながら、教育財産として、教育委員会の管理下に置かれたままになっています。 旧船坂小学校も、現在地域が活用していますが、活用実態とは裏腹に、教育財産のままになっています。 これら3つの事例からわかるように、廃校を教育財産のままにしておくと、最適用途に有効活用されなかったり、利用実態と管理に齟齬が生まれてしまったりします。 いっぽうで、当初の用途が廃止されていても、跡地の利活用が決まるまでは総務局としても預かる筋にはなく、そのため、教育財産のままにされているという面もあります。
西宮市では、用途廃止した施設の処理について統一したスキームがないため、このように個別の対応をとっており、そのことが全庁的なマネジメントを困難にしていますが、大阪市では、平成18年に「土地流動化委員会」を設置し、市有地に関して「処分検討地・継続保有地・事業予定地」の3分類の基準の策定と、分類を始めました。
以上のことを踏まえ、全庁的な取り組みを阻害してきた制度を整理し、所管の縦割りによる政策ロスを解消することが必要だという立場で、質問をいたします。
まずは、廃校された学校に関して、有効活用や売却を検討しやすいよう、組織体制を改変し、規則を改正すべきではないか。 次に、用途廃止された公共施設に関して、処分方針が決まっていなくても、総務局が現状のままで所管から預かって管理し、その上で活用や処分に関して一元的に考える体制をつくるべきではないか。 そして、最終的には市の保有する全公共施設の整備や企画に関して、市長部局で一元管理する組織体制や制度が必要ではないか。
以上、お答えください。
・現在の公有財産規則の下でも対応は可能だと考えているが、試算の流動性をさらに高めるよう西宮市公共用地対策協議会の運用の充実を図ることなどを検討する。
・資産を所管課が保有している間も、その行政財産に関する情報を共有化する工夫を考えるなど、公有財産の効率的運用に努める。
・総合調整のできる新たな体制作りを検討していきたい。
・市の保有するすべての公共施設の整備や企画を含めた一元管理について、今後、関係する庁内の常設連絡会議の設置など新たな組織体制の整備や財産の有効活用のルール化の検討を進める。
今回の質問の設計のために、庁内の様々な部署と議論をさせていただきましたが、以前とは違って、庁内の問題意識が格段に高まってきていることが、強く感じられました。 公共施設白書の完成以降の政策推進にあたって、公共施設の一元管理の体制作りは非常に重要になってきます。壇上の質問でも触れた、地方自治法238条の2の「公共財産に関する長の総合調整権」をじゅうぶんに発揮するためにも、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
現時点で問題なのは、用途が廃止された状態の公有財産が、次に用途や処分方針が決まるまでの状態を管理する体制や制度が未整備であることです。 ご答弁では「公共用地対策協議会」の運用を充実させるとありました。もちろんぜひそうしていただきたいですが、この協議会のメンバーは局長陣と財務部長です。庁内で新たな取り組みを推進するためには、実働部隊が必要ですから、協議会だけではなく、いずれかの部署に推進責任を持ってもらうかたちで対応していただくことも合わせてご検討ください。
policy一覧へ戻る