2010年6月
所信表明に対する代表質問
2010年5月16日に河野昌弘氏が西宮市の新市長に就任したことにともない、2010年6月定例会では、新市長の所信表明演説がありました。
その所信表明を受けて、代表質問をいたしました。
ただ、選挙からまだひと月、本年度予算の可決からまだ2ヶ月ということで、あんまり突っ込んだ質問はしませんでした。
質問というより、新市長に対しての期待の気持ちに関する演説、といったほうがいいと思います。
河野市長がいい市長になるのか、悪い市長になるのかは、まだわかりません。
(ただ、前任者がひどすぎたので、それ以下はないはずです)
だからこそ、これからに期待しての質問、ということになりました。
実際の質問の中でも申し上げておりますが、9月定例会以降は通常どおりの厳しい追及、ということになります。
前説
にしのみや未来を代表して、河野新市長の所信表明に対する代表質問を行いたいと思います。順番は最後となりましたので、項目もかぶりまくっており、おいしいところはぜんぶ持って行かれてしまいました。論点として重なるものについては随時、意見に留め置いて進めようと思います。だから、ちょっと壇上での発言が長めで、全体の時間は短めになると思われます。それでは、よろしくお願いいたします。
さて、この日をどれほど待ち望んだことでしょうか。我々は、いまここに、あたらしい市長を迎え、あたらしい西宮をつくる仕事をいままさに始めようとしているのです。
前任者は、西宮の未来ではなく、自分が市長でいることだけを考えていました。選挙のことだけを考えて無責任な公約を撒き散らし、選挙で支持してくれる団体への挨拶行脚に一所懸命でした。彼は、選挙のときに周りにたかってきた連中の意見にだけ耳を傾けていました。庁内では、自分に向かっていい顔をするイエスマンの話だけを聞いていました。そして、西宮の将来の姿を提示することもなく、大きな決断からは逃げ続けていました。
その傍らで、48万西宮市民の未来は捨て置かれていました。西宮の未来を創るために西宮市役所で働いているはずの市職員たちの誇りは穢されたままでした。市職員OBが天下りした各種団体、表には出ずに選挙のときに出てくるフィクサーのような胡散臭い連中、社会福祉より自分たちの保身だけを考える労働組合などにばかり阿っていた彼は、西宮のために働く市長ではありませんでした。挙げ句の果てに、74歳という高齢で三選したうえで、その職を務めることができなくなり、約一年にも亘る実質的な政治空白を作った上で、市長という重責を投げ出したのでした。
私は自分の政治活動11年のうち、9年と5ヶ月もの時間を前任者の下で過ごしてきました。その中で、私はずっと待ち望んできました。いつか、あたらしい市長に対して代表質問をする日が来るはずだ、と。そして、その日から、あたらしい市長とあたらしい議会で、西宮の失われた時間を取り戻し、あしたの西宮を創っていこう、そう待ち望んできました。そして、それまではとにかく、耐え、守り抜くのだ、と思ってきました。
今回の選挙は、西宮を穢していた古い膿を出すための選挙でした。これまでの市長の周りに集っていたフィクサーたちも、とうの昔に社会的役割を終えたにもかかわらず大きな顔で有力者面をしていた元議員連中も、この選挙で完全に西宮の政治から葬り去ることができました。
一方で、新市長は、これまで選挙のたびに候補者を票で強請って要求をのませてきたあらゆる団体と手を切られました。賢明にも新市長は選挙を通じて、一切の団体と政策協定を結ぶことなく、単なる要望として聞き置いたとお訊きしております。そもそも選挙に立候補したのは河野新市長自身です。公務員生活46年の誇りも、家族の安寧もすべてを賭けたのは新市長自身です。その市長に対して「あなたが市長として当選したのは私のおかげだ」とばかりに、自ら選挙に出るというリスクを冒すことなく政治家を強請って自分たちの要求をのませようなどとする各種団体は、公正な民主主義に歪みを生む卑怯者です。
新市長は48万西宮のための市長です。選挙で応援した人だけのための市長ではありません。もっというなら、「支援しよう」と要求を片手にすり寄ってきた人たちだけが選挙で新市長に投票した人ではありません。選挙のときに周りにいた連中に束縛されることなく、前任者による失われた十年を取り戻し、未来を創るために、新市長自身の創意と理性に従って、自由に行政運営にあたっていただきたいと思います。
一部の報道などで、新市長は「前任者の実質的後継者」などと書かれていました。前任者に絡みついていたものを断ち切って選挙で選ばれてきた新市長は、前任者の後継者などではありません。むしろそうあってはなりません。もしなっていくとすれば、48万西宮を裏切り、あたらしい西宮を穢すことになります。
どうか、新市長の愛と誠は、前任者の呪縛を完全に解き放ち、選挙で応援したと喧伝することによって利を得ようとする連中ではなく、48万西宮の遍くすべてに賜りますよう、心よりお願いいたします。それでは、これより、各項目についての質問をいたします。
行政運営の指針について
まず一点目は、河野市長の行政運営の根本的な指針についてです。
前任市長の最大の負の遺産の一つといえるものが、現行「第四次総合計画」です。前任市長とその周辺の人物が恣意的に設計したものが審議会にかけられ、議会に提案され、可決されました。西宮の今後十年の指針となるべきものであるにかかわらず、自分の三選目の選挙のどさくさに、自分の選挙公約などと混同されるかのように制定されてしまいました。そもそも、西宮のこれからの十年の姿を描くものであるにもかかわらず、その十年後の西宮を見ることもないだろう古い連中の発想で作られたため、民度の高い中核市西宮が21世紀に作ったにしてはあまりに恥ずかしい総合計画となってしまいました。
前任市長が、選挙スローガンのように恣意的に設定した、西宮市政の課題と無関係で唐突な基本目標。最近の社会情勢に対してあまりに無智な状況把握。施策の財源を10年間で915億円の財政余剰に求める、実現不可能な計画。この総合計画の問題点を指摘しようとすれば、枚挙にいとまがありません。
さらに重要な論点としては、もう一点、財政的な裏付けと並んでこの総合計画の基礎となっている人口予測についてです。第四次総合計画は、平成30年度の本市の人口が509,000人になるという予測に基づいて設計されています。しかし、人口増加に伴う扶助費増加や保育所や学校などの施設不足によって、いま住んでいる市民にこれ以上不便を掛けるべきではないという観点からすれば、ほんとうにこれ以上の人口増加を認めてよいのか、再検討すべきです。折しも、河野新市長はマニフェストに於いて「住環境を守るためのマンション開発規制」を掲げておられた一方で、もう一人の候補者は「50万都市西宮」を掲げていたことから、市長選挙に於いての重要な政策差異だったとも思っています。
この総合計画の品質に問題があるということは、昨年議会でも議論になりました。現に、総合計画審議会の答申に対して36人の委員のうち、半数近い16人が反対し、しかも、議員からメンバーとなった11名のうち、審議会総会の副会長になっていた議員を除いた全員が反対しました。確かに議会は賛成多数で何とか通過しました。総合計画が原因で市民が飢えることもなければ安全が脅かされることもないので、総合計画に対する議論じたいが市民にとって関心の高いものではありません。それに、現に、ほとんど、現場の行政運営に於いても、議会の議論に於いても、制定以来、ほとんど顧みられることもないのは現実です。このようなこともあり、総合計画の議論に於いて「意見は言っておくが最終的に反対はしない」という態度をとった議員も多かったのだと思います。
しかし、その第四次総合計画は、現に、議会の議決を経て西宮の行政運営の根幹として位置しています。前任市長なきいまこそ、改めて西宮の行政運営の根幹としての総合計画について考え直す必要があります。例えば、新知事就任すぐに総合計画を改定した宮崎県のように、西宮も総合計画を改定するのか。もしくは、議決された事項ではない基本計画部分に関して反故にし、あらたな今後4年間の河野市政の骨となるべき「河野プラン」のようなものを策定するのか。いろいろな方法が考えられると思います。前任市長のときには、当初予定していたとおり、平成25年末の基本計画見直しの方針だったとは思いますが、現在の総合計画についてどのようにされるおつもりか、お答え下さい。
また、当然とは思いますが、財源根拠もビジョンもないまま無責任な空約束ばかりが盛り込まれた平成20年の前任市長選挙公約はすべて反故になったということでよいのかどうか、明確にお答え下さい。
それに加え、新たに河野市長の市政運営をともに推進していく責を負うことになった市職員たちに対して、市長はどのようなメッセージを発信しているのか、お答えください。
<答弁>
答えてほしかったのはただ一点「山田マニフェストは反故にしていいのですね?」ということでした。
答弁としては、「前市長の路線をすべて踏襲するということではなく、現在の情況の中で、私なりに取り組まなければならないと判断するものについて、積極果敢に推進してまいります。」といただきました。
財政改善について
2点目の質問は、財政改善についてです。
この3月の代表質問で指摘したことですが、市税収入が見込みより30億も減少して810億となったことに加え、年に3億ずつの扶助費増加・大幅 な標準財政規模の縮小・100を超えてさらに悪化する経常収支比率など、長期見込みも悪化の一途を辿っています。
それにくわえ、前任者は長期的な責任を放棄し、ファシリティマネジメントの推進、中央病院施策の方向性の明示、外郭団体の処理等への毅然とした態度を取ることなどを怠ってきたことによって、不確定な財政リスクを放置してきました。
一方で、危機感を持っている現場は、平成22年度予算の策定において、臨時財源である財政基金等の取り崩し額を予め確定し、それに相応した歳出予算を固めていくという考えで予算編成を行ったりするなど、財政技術を駆使して状況を改善しようとしてきました。しかし、いくら現場が危機感をもって奮闘しようとも、経営責任者である市長が、選挙で無責任な公約などを掲げて当選してきたのでは、財政状況が改善しないのは当然です。前任者は、「赤字再建団体転落の危機」という水準を脱していらい、「西宮の財政は恢復した」と勘違いをしていたのではないかと推測されます。しかし、それは大きな誤りです。目の前の状況に目を眩ませて、長期的に持続不可能な行財政運営を行うことは、後の世代にツケを遺す重大な犯罪です。
現に、いまの我々の世代はそのツケを払わされているのです。制度的に立ちゆかない福祉制度や、無思慮に建てられ続けてきた公共施設など、高度経済成長期の日本人が犯した犯罪の後遺症に苦しまされているのは、まさしく現在の我々なのです。いま政治にかかわる者であるならば、いまこそ無責任な過去と訣別し、あたらしい未来のために、これまで常識だとされてきたものを切っていくことが必要です。
そしていま、一切の団体と政策協定を結ばずに、河野新市長が誕生しました。新市長は、所信表明に於いて、「財政の健全化」を喫緊の課題の一つとしてあげておられます。また、「今後、増加が予測される行政コストについて把握・分析し、必要な対策を講じるとともに、経常収支比率の早期改善を目指し、既存事業の見直しなど一掃の行財政改革を行い、安定した財政基盤の確立につとめる」とも仰いました。選挙のときのマニフェストには、「経常収支比率80%を早期実現する」とも書いておられました。いまこそ、大鉈を振るって過去の一切のシガラミを切り、将来に亘って持続可能な財政運営を開始する大きな転機です。
そこでお伺いします。これからの財政改善には、思い切った事業の取捨選択と、大胆な経費削減が必要です。前者については以降で質問するとして、「経常収支比率の早期改善を目指す」ために、「第四次行財政改善実施計画」をただちに策定し、遂行すべきではないかと考えますが、お考えをおきかせ下さい。
<自席意見>
政策の推進には財政的な裏付けが不可欠です。それは、本市のように、財政の硬直化した自治体であれば、より一層慮らなければならないことです。これからの西宮に求められるべき政策、施策をゼロベースで精査すること、そして、それに対応するコストを考えて経営することをお願いしたいと思います。
平成25年に第四次総合計画の後期基本計画部分の見直しをするにあたっては、元々が合理的な取捨選択もなく作られた実現不可能な計画であったため、修正の範疇を越えるような見直しが必要となってくると思います。
財政学の本来的な前提は「出ずるを量りて入るを制す」です。つまり、期待される財政サービスまず規定し、それを提供するために必要な収入を考える、となっているべきです。しかし、現実的には、自治体の収入のうち、コントロールできる部分が限られること、収入を増加させるために税率を上げることには民主主義上の大きなハードルがあること、などから、「入るを量りて出ずるを制す」となっているのが現実です。いずれにせよ、「入る」か「出ずる」を制することが当然行政経営者には求められるわけです。市長であれば、ぜひ実現したいと思っておられる事業もきっとおありでしょう。しかし、そのときに、「それはさらに税金を上げてでもするべき事業なのか」を考えるつまりは「入るを制する」覚悟はおありかを考えるべきです。
平成25年に第四次総合計画の後期基本計画部分の見直しをするにあたっては、少なくとも、23年と24年をかけて後期計画のありかたについての検討をする必要がありますから、早速この22年度から、分析を始めていただきたいと思います。
事業仕分けについて<意見のみ>
3点目の質問は事業仕分けについてですが、これまでの質問者と質問がかぶりますので、意見を申し上げるに留めさせていただこうと思います。
先の財政の質問でも触れたとおり、今後の行財政運営において最も重要なことは、行政のやっている業務領域を、選択と集中によって明確化・軽量化することです。
事業評価の定着と、決算特別委員会の時期前倒しによって、機能としては行政のPDCAサイクルができています。しかし、事業評価に関しては、そもそもその事業を評価するにあたっての評価軸が前年度の同事業であるため、抜本的な事業の存廃にまで踏み込めるような評価がなされることはありません。また、決算特別委員会での議論も、選挙で選ばれた議員がやることですから、未だ「何に力を入れろ」といった足し算発想の領域を超えない指摘が多いのも現実です。あとは、実効性を高めるために、議会とは別の意味で事業の取捨選択をする必要があるのです。
それに必要なのは、専門的な分析力と、経営者のリーダーシップです。
選挙で選ばれた議員ではなく、合理的に判断する監査法人などによる分析によってこそ、シガラミや情と切り離された判断が可能になります。その分析の正確さは、H20年からはじまった包括外部監査を顧みても明かです。
現実にアメリカ合衆国の多くの市などでの地方自治制度においては、大衆選挙によって選ばれた議員ではなく、能力によって採用された「シティマネジャー」とよばれる公共経済学の専門家が地方自治体を経営している場合も多く見られます。実際にアメリカの大学における行政学の学位は、そのシティーマネジャーを輩出することを期待されたものとして存在しています。横道に逸れましたが、自治体経営に不可欠なのは、それによって既得権を持つ一部市民から発生される圧力を、経営者が毅然と受けて跳ね返す覚悟があるかどうかです。シガラミのない新市長が生まれたいまこそ、思い切って肥大化した行政サービスの整理を始めることが出来るのです。
特に、市のOBなどとのシガラミの強い産業振興分野と文化行政分野には、効果検証のなされないまま、ただ垂れ流し続けられている事業がたくさんあります。この分野については、所信表明に於いても、「これまで進めてきた産業政策について、既存事業の見直しを行う」と仰っていただきましたし、「市民文化の創造や文化交流の促進については、事業の検証を行う」とありました。このふたつの分野での事業に無駄が多いことを市長も感じておられる、ということが、行間から読み取られるべきだと思います。
そのうえで、新市長は「専門家の目線を加え、透明性を高めた事業点検を行う西宮方式の事業仕分けをモデル的に実施し、事業の再構築と職員の意識改革につなげてまいります」といっておられます。先ほど申し上げましたとおり、質問に関してはすでに質問された方とかぶりますので控えますが、シガラミを断ち切って積極的に事業の取捨選択を進めていただきますよう、要望いたします。とりわけ、市のOBなどとのシガラミの強い産業振興分野と文化行政分野について、徹底した見直しをしていただきますよう、要望いたします。
ただ、「事業仕分け」は事業を「やる事業とやらない事業に仕分ける」というよりは、「国や県がやるべきもの」「民間事業者がやるべきもの」そして、「西宮市がやるべきもの」に仕分けることを想定したものです。「やるべき事業」の中で「その責任を負うことが最も適切なのは誰か」を規定することによって、市民に対するサービスを減じることなく、西宮市の事業をスリム化することを想定しています。
もちろん、「やる・やらない」の取捨選択も大事ですが、そのさらに先に「事業仕分け」というのであれば、「その事業の最適な供給者は誰か」という意味での選択もしていただきたいと要望いたします。
「市民に信頼される公正で効率的な行政の実現」について。
4点目の質問は、所信表明の第5に「市民に信頼される公正で効率的な行政の実現」と触れられていたことについてです。「効率的」と言ったところに関しては、先ほどの質問などにも触れましたが、この項目に於いては、「公正で」といった部分に関して質問いたします。
とりわけ「委託費」についてとりあげます。
西宮市が外部委託を進めている事業は、その内容が「委託費」としてくるめられているために、我々議会も含めてその契約内容に関して、詳細を知ることができず、その金額が適正かどうかの精査もできなくなっているものがあります。
たとえば、庁舎管理委託業務は、連続して同じ業者が、しかも非常に高い落札率で事業を受注しております。本庁舎他9庁舎総合管理業務を連続して受注している「日本管財株式会社」には、西宮市役所で重要な役職を務めたOBが過去も含めて在籍していることは市内では周知の事実であり、このような状況では、天下り先の業者が談合で市の委託事業を受注していると、癒着が疑われてもしかたないでしょう。
長年に亘って、市のOBが市長となり、特別職にも市のOBを登用し、一方で多くの市のOBが市の外郭団体や特定の企業に天下りしていきました。この状況を多くの西宮市民が知っています。
西宮市奉職46年、副市長からこのたび市長になられた河野新市長に対して厳しい見方があるとすれば「また市の内部から市長が出た。だからこれまでの市のOBとのシガラミは続くのだろう」という落胆です。
もし、市長がこの市民の落胆を払拭し、あたらしい西宮の幕開けを鮮烈にしようと思うのであれば、この委託費というものの透明化に手をつける必要があります。委託費の中身の透明化、そしてそれを前提とした適正化によってシガラミを断ち切ることが必要だと考えますが、市長はどのようにお考えか、お答えをお聞かせください。
<自席意見>
委託費、とりわけ施設管理の委託費に関しては、非常に不透明なものが多く、契約の部署からも、施設管理の部署からも、充分な情報の提供を求めることすら非常に困難です。
入札価格や予定価格、最低制限価格などについて公開する方向で考えていることが答弁にありましたが、なにより公開されるべきなのは、せめて何にいくらかかっているのか、という、委託費の内訳だと思います。
この分野に関しては、今後とも会派全体で適正化のために、追求を続けていこうと思っております。
人事制度改革と人件費削減について。
5点目の質問は、人事制度改革と人件費抑制についてです。
多くの優秀な職員たちが、前任市長の下ではたいへんな閉塞感を感じていました。市長選挙でばらまいた場当たり的な公約に振り回され、西宮をよくすることにつながらない持続不可能な行政運営に荷担させられることに、多くの幹部職員は苦しんできました。そして、市長自らが盾となって組織を守ろうとしないため、自分たちばかりが市民の不満の矢面に立たされることに、非常な苦痛を感じてきました。ビジョンが示されず、西宮がどこに向かうのかわからないままに、ただただ現場に押しつけられた仕事を処理させられることに、多くの中堅職員は苦しんできました。
こういった状況と直接的な関連があるとは思えませんが、職員のモチベーションが低下する一方で、職員の不祥事が連発するなど、規律の低下も目立ちました。職員の逮捕事案は、新市長就任以降にも複数発生しております。
いま、西宮市役所に必要なのは、職員が誇りを持って能力を最大限発揮する職場です。
そんななかで、課長補佐制度の廃止と給与テーブルの見直し、技能労務職の給与テーブルの分離といった給与制度の改革、定期評定の実施や期末勤勉手当のありかたなどの、能力主義の導入などが進められようとしております。所信表明に於いても、「がんばる職員が報われるメリハリのある給与制度を構築し、職員の士気を高める」とありました。技能労務職や、年齢ばかりが上がりながら昇進しない職員の人件費などは、能力と意欲のある行政職員にとって、モチベーションを削ぐ大きな要因となっています。市長もこのいま進めつつある改革に関してたいへん意欲的であると受け取っています。
しかし、こういった改革を進めようにも、これまでのような人事と職員組合の馴れ合いがあっては、職員組合の反対で頓挫するのではないかとも疑われます。現に、「課長補佐制度の廃止も予定している」とありましたように、すでに、全庁的にも、事務・技術職の課長補佐への昇進は見送られていました。しかしながら、水道局でのみ3名昇進しており、全庁の人事政策との齟齬が気になります。
ここで質問いたします。「がんばる職員が報われるメリハリのある給与制度」をめざした、人事給与制度改革は職員組合の反対を抑えてやりきれるか。その意思を明確にお聞きしたいと思います。
人事関連でもう一点、人件費について質問いたします。
技能労務職のラスパイレス指数は平成21年数字で137.6%と、異常な数値になっております。技能労務職人件費の圧縮は、行財政改善活動の中で、これまで当局が職員組合を恐れて取り組めていなかった大きな分野です。先述の財政改善についても、357億円に上る人件費にどう切り込むかが最大の論点となってきます。
市長は、マニフェストで「ラスパイレス指数の低減にチャレンジする」と書いておられます。所信表明ではこの点について述べられておりませんでしたが、この点に関してはどのように考えているか、お答え下さい。
<自席意見>
この分野に関して適切な改革を進めようとすれば、職員組合は、死力を尽くして抵抗をしてくるでしょう。そういったことも容易に想像されることから、当局と職員組合のあいだには、長きに亘って醸成されてきた馴れ合い体質が厳然と残っています。
これからは、職員組合との団体交渉が、行政改革に於いて非常に重要なものとなってきますので、これまで人事部に押しつけてきた団体交渉を、ぜひ市長自らやっていただきたいと思います。経営者として伝えるべきことを、自ら伝えること、また、その非常なストレスを部下に押しつけることなく自らお受けになることによって、ほんとうの経営改革が実現すると思います。
そして、その団体交渉を報道などにも公開して納税者に周知させ、民意を味方に付けると同時に、相手方に対して社会常識の水準を認識させる必要があります。
それに加え、法律家の支援も受けるべきだと思います。職員組合も、自らの主張が適正だというのであれば、それらを拒むことはできないはずです。
河野市長は、長く市行政に携わって来られた方だけに、残念ながら、納税者からすれば、馴れ合いを疑われる立場におられます。それを払拭するためにも、河野市長におかれましては、西宮市の経営者として、毅然とした交渉によって、公務員人事制度を適正化していただきたいと要望いたします。
民間活力の活用について。
6点目の質問は、民間活力の活用についてです。
先述のように、最小のコストで最大の効果を上げるため、事業の取捨選択が必要となってきます。市長はマニフェストの中で、「公務員が行う必要のない事業については、徹底的に民間活力を活用し、効率的に、より幅広い住民サービスを提供できるよう努めます」とおっしゃっておりますが、仰せの通り、現在の行政サービスの中で、高コストな公務員が直接的に担当する合理的理由が存在しないものがあります。これは、所信表明にあった「市民に信頼される公正で効率的な行政の実現」のためには、是非にも改革しなければならない重要な論点です。
前任の市長は、保育所の民営化も推進すると言っておきながら、職員組合の煽動する反対運動の圧力に負け、結局頓挫させてしまいました。学童保育に関しても、現時点では8カ所で指定管理者の公募が行われただけで、しかもそのうち6カ所は社会福祉協議会が指定管理者となっており、民間活力の導入が強力に推進されているというわけではありません。用海・浜脇の指定管理者となった神戸YMCAは非常に評判もよい成功事例であり、これは今後強力に民間委託を推進していくべき強力な論拠となります。
ここで質問いたします。まず一点目。頓挫している保育所の民営化はどのように推進していくのか、お答え下さい。
2点目。学童保育の指定管理者制度の公募を今後どのように拡大していくのか、お答え下さい。より効率的で品質の高い運営を期待するならば、受注業者にスケールメリットを持たせることが大切です。ならば、4箇所だけなどではなく、大規模な推進が必要となってきます。市全域をブロックに分けてブロックごとの公募を行うことなどが必要ではないか。お答え下さい。
その他。同様に、学校給食、塵芥収集、学校用務員に関しても同様に民営化についてどのようなお考えをお持ちか、お応えください。
<答弁>
学童に関して「市全体を複数のブロックに分け、ブロック単位に公募を行うことは、事業者にとっても参入しやすく、安定した運営が期待されることから、今後、ブロック単位で公募していくことについても検討してまいります」といただきました。
<自席意見>
保育所、及び、学童保育の分野の民間活力活用に関しては、職員組合のキャンペーンによって、保護者が煽動されて反対運動に巻き込まれてしまうほか、参入する事業者に「西宮は職員組合の抵抗があるので面倒だ」という感覚を植え付けて参入が拒まれるなど、いま時点では、非常に推進が難しい状態になっていると、理解しております。これまでのところは、職員組合の戦略どおりになってしまっていると言わざるを得ません。これからは、当局から先手を打って利用者に対してキャンペーンを行うなど、戦略的な推進を心懸けていただきたいと思います。
ファシリティマネジメントについて。
7点目の質問は、ファシリティマネジメントについて、です。
公共施設の更新と改修には非常に多くの資金を要するため、ファシリティマネジメントの推進は喫緊の課題であると従前より指摘してきました。
それを受けて、今年度、総務局施設部に「施設企画担当」の参事が置かれ、やっと少しは西宮市役所も取り組みを開始したと、好意的に捉えております。そのうえで、所信表明に於いても、「全市的な視野に立ち、現在ある公共施設の適切かつ効率的な維持・活用を図るとともに、施設の再編についても検討してまいります」と触れられており、今後の進展にとても期待しております。
現在、総務局の所管として設置されておりますが、所信表明でも触れられていた「公共施設白書」の設計の後に、それを受けて、取り組みの遅れている教育委員会や水道局なども含めた全庁をマネジメントするためには、今後は総合企画に所管を移動すべきと考えるがどうお考えか、お答え下さい。
また、全庁のPFI導入に関しては、この「施設企画担当」と連動して推進すべきと考えていますが、どのように進めていこうとお考えか、お答えください。
<自席意見>
現在、庁内でも施設整備の分野に関しては部局によって推進について温度差があるのは、従前より繰り返し申し述べてきたとおりです。
これまで庁内の各部署で行われてきた工事に関しては、基本的には、「設計・施工分離発注」で行われてきています。しかし、この方法だと、設計段階で、後の施行で非常にコストがかさんでしまうような企画が平気で選定されてしまっているという大きな問題があります。
後で施行に関して入札をかけるにしても、すでにコストのかかる設計が固定化されていては、工事にかかる経費を抑えることが非常に困難です。特に、教育委員会や水道局の発注する工事に関しては、「その機能を果たすべき施設に、そんな立派なものがなぜ必要なのか」というような設計企画が数多く見られます。収税や市営住宅の部署を初めとして、1000円の滞納を回収するのに職員が必死になっている部署もあるというのに、あまりに原価意識がない部署が目につきます。
これから、施設の整備を進めていくにあたっては、設計・施行の一括発注による「DB方式」、さらには、PFI手法の活用によって、コストを抑えていいものを作らせる必要があります。いまのままでは、「市から受注する工事はぼろ儲け」という状態です。
公共施設白書が完成した後には、いよいよそれに基づいて、効率的な公共施設整備を全庁的に推進していくことになります。そのためには、コスト意識の低い教育委員会や水道局に勝手に工事をさせないために、施設整備を統括する部署を総合企画に置いて、また、推進力のある人材を総合企画局長に置いて、強力なマネジメントに従わせる必要があります。もっというなら、施設整備に関しては、全庁で一括して行うべきであり、教育委員会や水道局に施設部は不要だと思います。
現在は総務局に公共施設白書を作ることを期待された部署が置かれ、企画にPFIの推進を期待されている部署があります。しかし、現状はこのように統一的に推進されるべきことに関して部局を横断しているばかりか、PFIの推進を統括している部署には技術のノウハウを持つ職員はおりません。今後は、これまでにも提案してきたとおり、総合企画局に、全庁のファシリティマネジメントを統括する部署を設置して強力に推進する体制を置くべきです。本年度設置された総務局施設部の施設企画担当の活動に指向性を与えるためにも、今後の全庁ファシリティマネジメントの方針に関して、早期に方針を決定していただくことを要望いたします。
中央病院について<意見のみ>
8点目の質問は、中央病院についてですが、この点に関しても、これまでの質問者と質問がかぶりますので、意見を申し述べるに留めさせていただきます。
この問題に関しては、前市長が任期を通じて逃げ続けてきましたが、いよいよこれ以上先送りにはできない問題です。
所信表明では、「経営問題についても抜本的な対策が必要」と言っておられますが、そもそも経営情況の改善は、これまで繰り返してきた健全化計画でも成果を出せなかったため、いよいよ経営改善は不可能であると認めて、次の議論に進むべきだと考えます。
そこで、その「次の議論」についてですが、市長は「移転・建て替えも視野に入れて」とおっしゃっておられますが、その前にすべき議論があると考えます。
同じく所信表明に於いても、「本市の医療環境の中で必要とされる公立病院のありかたを議論し」とありましたように、病院の存続ありきの議論ではなく、まずは、この西宮で公的医療の果たすべき役割を定義づけることが必要です。
現に、市内の医療関係者の意見からも、実際の数から言っても、西宮市内は医療機関に関してオーバーストア気味であり、むしろ他の医療機関の事業活動を圧迫している側面もあります。このようなことから、基礎自治体として病院を保有する意義を明確にする必要があります。市民のみならず、多くの医療関係者からは、本市に公立病院は必要ないとの意見が多勢であり、市に果たしてほしい役割は、唯一、一次救急医療だとも言われております。それであれば、市内の医療機関は充実しているわけですから、公的医療機関としては、現在、内科と小児科の診療のみとなっている応急診療所の機能を充実させ、トリアージを担当させるだけを目的とした医療施設があれば、地域の医療環境にじゅうぶん貢献できるとも言えます。そうなれば「中央病院」という施設は必要なくなります。
まずは、公的医療の果たすべき役割を判断すべきです。それに次いで、もし、行政が病院を保持する必要性があると判断されるなら、その役割を果たすために必要な事業規模を判断すべきです。
しかし、もし、現状より病院を小規模化するのであれば、大学から優秀な医師を招くことが困難になり、実質的に病院を存続することが不可能になってきます。もし、事業規模を小さくすると言うことになれば、実質的に病院を存続することが不可能になりますので、市内の充実した医療機関を前提として、一次救急のみを責任をもって担うことができる応急診療の施設を整備することが現実的に西宮で公的医療機関が果たすべき役割だと言えます。
現在、全国の自治体で、公立病院は財政を圧迫する癌となっていますが、そのほとんどの自治体で、公立病院が地域医療に不可欠です。西宮の情況はそういう情況ではありませんので、いよいよ「存続ありき」の議論から離れる必要があります。
その上で、その医療機関に関して、運営形態について独法化などについて判断しなければなりません。そしてやっと移転や建て替えの議論に至るべきです。
つまり、移転の議論以前にすべき議論が、中央病院に関してはまだ山積みになっているのです。もし、何らかのかたちで移転して存続するのであれば、移転先の土地取得の数十億、建物の百億、設備の十億、処分する職員の退職金など数十億と、合わせて150億以上の莫大な支出をする必要が発生します。それを例えば20年で返済するのであれば、利子も含めて年間約15億にものぼる金額を返済していかなければいけません。その返済計画まで合わせて、やっと建て替えの議論となるべきです。
中央病院に関しては、拙速な議論によって、それこそ長期に亘って西宮市民の負担となるようなものを作ってしまうのではなく、中央病院の存続ありきではない現実的な議論によって、市内の充実した医療環境を前提とした簡素で効率的な医療施策を推進していただくよう、要望いたします。
西宮都市管理株式会社について
9点目の質問は、所信表明の冒頭のほうで、市長が「喫緊の課題」として掲げていたもののうちの一つである「外郭団体の見直し」に関連して、昨年来、議会でも集中的に議論をしてきた西宮都市管理株式会社、以下都市管理の今後に関する質問をいたします。
現在、フレンテ問題特別委員会での議論の進捗では、当局としては、都市管理への10.7億円の債権に関して、都市管理の保有する駐車場の床を買い取った上で一定の債権放棄をし、残りの4億円と試算される金額を15年で返済させる、というプランを検討していると聞きます。しかし、億単位の額の債権放棄など、民意が得られるでしょうか。多くの西宮市民が、都市管理の恩恵に与ってきたのというならまだしも、開発行政の失敗と3セクの雑な経営が招いた多くの借金を棒引きにするなど、税金をまじめに払ってきた納税者であれば、絶対に納得できるものではありません。
当局は、都市管理に関しては、1円でも多く早期に回収するのだ、ということ一点だけを考えて対応を検討していただきたいと思います。そうなってくると、現実的な対応としては、長期貸し付けにして返済させるということになってきます。しかし、その場合は、返済に関して一定の担保が必要だと考えます。もちろん、それは使い道のない床などではなく、「今後の追加融資は絶対に行わない」という約束であるべきだと思っています。
その上で、多額の負債を完済させるためには、徹底した経営改善が必要です。また、場合によっては、法的に敵対する可能性がじゅうぶんに考えられるため、都市管理と当局の馴れ合いを断ち切ることが必要です。そのため、今後、都市管理の経営者は天下りではなく、民間からの招聘を検討するべきです。
市のOBである都市管理の前任社長は、市に対して緊急融資を要請した昨年4月のその直前に、契約社員を正社員にする等の職務懈怠行為を行うなど、到底常識的な経営感覚ではあり得ないような経営が最近でもなされております。
当然、都市管理の経営者として誰を招聘するかどうかは、都市管理が決めることです。しかし、これから負債を返済させるべき相手方である都市管理には、市のOBを天下りさせるべきでないと考えております。市長のお考えをおきかせ下さい。
また、そもそも、このように現在の市の抱える課題の中でも、緊急性・重要度ともに非常に高い課題でありながら、所信表明で触れられていないのはどういった理由か、お答えください。
<自席意見>
答弁の中に、「現在の経営状況の下では、民間から経営者を招くことは難しい情況」というふうにありました。しかし、筆頭株主である西宮市以外にも、大手都市銀行も株主で入っておられます。銀行から経営者に来てもらって、これまでの都市管理では考えられもしなかったような苛烈な経営改革をしていただくべきだと思います。
総じて、1円でも多く、少しでも早く、金を回収することに集中して戦略を立てていただきたいと思います。
そのためには、まずは、都市管理に経営改善させ、債務を返済させること。そして、それを何年か見極めた上で、計画通りの返済が無理だとみれば、フレンテ特別委員会の議論では選択肢からはずれている民事再生も改めて検討されるべきです。
法律家による合理的な判断で返済可能なぶんについて返済計画を作らせることこそが、もしかすれば「1円でも多く少しでも早く、金を回収する」手段かもしれません。第3セクター等経営検討委員会の報告書によれば、フレンテの商業施設としてのイメージ云々のことが選択肢からはずれた原因のようですが、もし、返済計画が実行できないとのことであれば、そうもいっておれません。
今月9月を目途に処理方針を決定したい、とご答弁いただきましたが、その処理方針というものが、これまでの中央病院の経営改善計画のような「こうします」という計画だけではなく、「もしその計画通りに行かなかったらどうするのか」まで含めての計画を出していただくことを要望いたします。
幼稚園の公私間格差<意見のみ>
最後は、幼稚園保護者負担の公私間格差の問題についですが、これについても壇上で意見を述べるに留めさせていただきます。
所信表明に於いても、「幼稚園保護者負担の公私間格差の問題についても、重要課題の一つとして(仮称)西宮市幼児期の教育・保育審議会検討していただき、今年度中に、負担のあるべき姿や格差是正について、低減を求めたい」とありました。
審議会はあくまで外部の意見を求めるものです。これまでの答弁にもございましたように、現在単純比較で2.64倍にも上る公私間格差を解消するべく、H23の予算編成に何らかのかたちで反映できるように取り組んでいただけるとのことでございますので、今後の取り組みに期待いたしたいと思います。
以上で壇上の質問とさせていただきます。ご答弁を頂いたのち、自席で意見を申し述べさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。
自席での意見(個別案件ぶんを除く)
ご答弁ありがとうございました。何よりも、ほとんど自分の政治生活を前市長の下で過ごしてきた私からすれば、市長が議会で、自分の意志で答えたと思われる答弁をしていただいたことに、感激しております。
他の市議会では、答弁のほとんどを市長がするところなども多々あります。特に、再質問以降は、突っ込んだ質問を受けるわけですから、所管の責任者では答えられないためにすべて市長が責任を持って受けるところが主流です。今後は、この議会で合理的で問題解決につながる議論をお互いにできることを期待しております。
この代表質問に関しては、この5月の選挙で当選された市長の所信表明に対してのものであり、直近3月の定例会で議決された本年度予算が執行され始めたばかりの時期ということで、細かい追求は控えようと思っていました。はっきりと答えきることが難しい問題も多々あると思っています。次回の9月定例会以降は、より踏み込んで、前任の色を払拭するような答弁がいただけると期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
私は、政治家というのは、一代で何かを成し遂げたりするようなものではないと思っています。その政治家の政治生命が終わっても、国とまちは生き続けていくからです。それに、国やまちの理想が、政治家一人で簡単に完結できるようなものであるわけがないのです。
一人の政治家が政治をやっている時間などというものは、あらまほしき社会が実現していく永い歴史の流れの中の、ほんのひとときに過ぎません。だからこそ、いま目の前にあることに対してとるべき対応をとらなくては、次の時代にツケを遺してしまうのです。
これまでの市長は、西宮市を経営するに於いて、その責任を鳥瞰することを怠ってきました。自分が何をしたか、それが何に残ったか、そんな小さなことに目がいっていました。何をすればいまの市民にわかりやすく喜ばれるかばかり考えていました。
確かに、西宮で人が飢えていたり、治安が極度に悪化したりしているわけではありません。しかし、それぞれの期間に於いて果たすべき役割を果たさなかったがために、多くの分野に於いてツケが遺されてきました。長期的な課題、市民に受けにくい論点は、どんどん後回しにされていきました。河野市長は、西宮の長い歴史の中に於いて、いまこれからの4年間で為すべきこと、これまでの市長が放置してきたことを見極め、真摯に取り組んでいただきたいと思います。
ほんとうの文教住宅都市への回帰、これまでの数十年の行政によって溜まってきた問題点の解決。市のOBなどの市政に絡まるシガラミを断ち切ること。職員組合の圧力に負けずにあたらしい時代に適合すべき市役所組織への脱皮させること。この2010年からの4年間で河野市長が、西宮の歴史から要請されていることはたくさんあります。
新市長におかれましては、市民の信託を受けたわけですから、何の束縛を受けることもなく、自らの創意と、論理的で科学的な判断によって、行政運営にあたっていただきたいと思います。
また、我が国の地方自治体は、二元代表制をとっております。その一翼を担う議会は、執行機関とは独立対等の関係にあります。自ら選挙の功労者を自任している議員の意見に阿ることなく、市長として毅然とした行政運営にあたってください。執行機関の長である河野市長と、我々議会が是々非々で相克関係を築くことこそが、日本の地方自治制度である二元代表制に期待されているシステムだからです。
河野市長は、失礼ながら申し上げるとすれば、非常に誠実で、情の厚い方だと思っています。
孫子の第八篇に、リーダーたるものが特に気をつけるべき5つの条件について述べられています。その5つの最後に挙げられているものが、「愛民可煩也」という言葉です。
人間に対して情があるリーダーは、それが元で冷静で合理的な判断を狂わせることがあるので気をつけなければならない、という意味の言葉です。
私と全く正反対で、情に厚い河野市長だからこそ、「愛民可煩也」、つまり、人間に対する情ではなく、長期的な視野に基づいた合理的な判断によって、行政運営にあたっていただきたいと要望いたします。
以上で、にしのみや未来を代表しての、記念すべき、河野新市長の所信表明に対する代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。






