2010年3月
財政について
行政方針にみるH22の「財政」
H22行政方針では、「新年度の予算編成にあたりましては、財政・減債基金について計画的な活用を図るなど、今後の財政運営についても留意いたしました。」とあります。87億の基金残から49億も基金を取り崩しておきながら、基金について計画的な活用を図ったとは、あまりに感覚が麻痺していると言わざるを得ません。
同じく行政方針において、財源対策としては「下水道事業における資本費平準化債の発行や、市有地の積極的な売却などにより歳入確保に努め」とありますが、どう考えても、長期的に根本的な問題を解決するものではなく、窮場しのぎの財源不足対策です。
財政収支の見込み
H22年2月発表の「西宮市の財政を考える(VI-2)」を昨年の「VI-1」と比較すると、840億と見込まれていた市税収入が810億と、30億円も減少が見込まれる一方、扶助費も年に3億ずつ増加が見込まれております。大まかにいえば、「市税減収と扶助費増加を臨時財政対策債を年間約25億増加させることで埋める」という試算になっています。
・昨年と今年の財政見込みの比較
〜
市税収入見込みは大幅減、扶助費見込みは大幅増
| ― | 市税(H22-25) | 扶助費(H22) | 扶助費(H25) |
| Y-2(H22/2) | 810.07億 | 116.97億 | 131.31億 |
| Y-1(H21/2) | 839.65億 | 113.76億 | 129.22億 |
| □市税とは 市民税、固定資産税、軽自動車税などのほか、市たばこ税、鉱山税、入湯税、国民健康保険税などを合わせた、地方公共団体である市が賦課・徴税する租税。 □扶助費とは 社会保障制度の一環として、生活保護法や児童福祉法、または、老人福祉法など、国の法律に基づいて支出するものと、地方自治体が住民福祉の増進を図るため、独自の施策において支出するものとがあり、現金・物品を問わず、被扶助者に対して支給される福祉施策の根幹を成す経費のこと。 |
標準財政規模はH22の905億がH25に888億になるとの見込が、H22の874億がH25に850億になるというふうに、5年で大きく縮小する見込になり、経常収支比率は104.2%と前年103.5%からさらに悪化。これは、H18の95.6%から一貫して悪化傾向にあり、震災直後の105.1%に迫る勢いとなっております。総じていえるのは、一層の財政の硬直化が明確である、ということです。
・昨年と今年の標準財政規模見込みの収支
| ― | H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | Y-2(H22/2) | 928億 | 904億 | 874億 | 861億 | 852億 | 850億 | Y-1(H21/2) | 928億 | 907億 | 905億 | 898億 | 890億 | 888億 |
|---|
| □標準財政規模とは 標準税収入(一定の算式で算出した地方税収入の合計額)等に普通交付税を加えたもの。その自治体の標準的な一般財源の規模を示す。 |
| □経常収支比率とは 地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される財源のうち、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費に充当されたものが占める割合。経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表す。70から80%が標準的とされる。 |
さらにこの収支見込みには、十億円単位と見込まれる「西宮都市管理株式会社問題に今後要するであろう資金」や「中央病院の施設改修に要する資金」などは見込まれておりません。
見送られる政治判断
財政状況が悪化する中、あいかわらず政治判断はなされないままに行政運営されております。このような政治状況でよく予算が組めたものだと、財政当局には頭が下がる思いです。予算を大まかに見る限りは、全く事業の取捨選択はなされておりません。
もし、本格的な事業施策の優先度づけが行われたのであれば、3セクや病院等に関して、大きな政策判断が行われ、大幅な見直しがなされるはずです。しかし、西宮都市管理株式会社の問題は結論が予算に間に合わなかったため、結局、短期貸付金を改めて10.7億計上しております。中央病院への支出はとうとう25.9億にのぼっています。大きなもの以外でも、新規事業も含め多額が計上されている都市型観光事業や、「男女協働参画Cウェーブ開館10周年事業」、「駅前花壇の整備」など、この厳しい財政状況でなぜ削減対象にならなかったのか疑問な事業が散見されます。
質問と答弁、意見
■■■質問■■■
1.H21年度にどのような取り組みがなされたのかについて
昨年の代表質問で「経常収支比率や基金残高などに関して、長期の明確な数値目標をつくる必要があるのではないか」と訊いたことに対し、総合企画局担当理事から「平成30年度を目途に、まず85%程度に引き下げを図ることを目標に取り組んでまいります」、また、総務局長からは「平成25年度末の財源不足の解消に向けまして、21年度中に具体的な手だての取りまとめを行う」と答弁があったことについてです。21年度中にとりまとめを行うと言明された、「財源不足解消とH30経常収支比率85%に向けた具体的な手だて」をご紹介ください。
2.財源確保について
本年度予算編成における財源確保については、あいかわらず行政評価などが予算策定にリンクして事業の取捨選択をしているようすはないですが、厳しい税収減・扶助費増のなか、結局、どのようにして財源を確保したのか、お答え下さい。
3.行財政改善実施計画について
これから、景気が恢復するとは思えません。換言すればこれを「景気が悪い状況」と捉えるのは完全に昭和的発想だと思っています。バブルはもう来ないし、右肩上がりの成長は考えられません。さらに、現在の収支試算には、繰り返すようですが、西宮都市管理株式会社の問題や中央病院の問題などは加味されておりません。さらなる財源不足に苦しまされるのは目に見えております。それでは、人件費への切り込みを含む「第四次行財政改善実施計画」を直ちにおこなうべきだと考えるが、いかがお考えか、お答えください。
■■■答弁■■■
1.H21年度にどのような取り組みがなされたのかについて
・臨時財源である財政基金等の取り崩し額を予め確定し、それに相応した歳出予算を固めていくという考えで予算編成
・公債費の抑制や内部管理経費等の削減により経常経費を縮減することで、経常収支比率を改善していく
| □公債費とは 地方公共団体が借り入れた市債の元利償還金及び一時借入金利子の合計額。 |
2.財源確保について
・基金の取り崩し額を事前に確定し、一般財源総額以内で予算編成を行う
・各局等には削減額を数値化し、目標値とした一般財源額以内で予算編成を行うよう指示
3.行財政改善実施計画
・25年度末では財源不足の累計額が約99億円
・市税収入については、短期間で大幅に回復することは見込み難く、当面、厳しい財政運営が続くものと考えている
・経常的に財政基金の取り崩し額を確定した予算編成を行う方法、実施計画策定時までに概算の一般財源総額を示し、その中ですべての経費を考慮したうえで実施計画を策定する方法などを考えている。
■■■意見■■■
従前より、野放図な基金の取り崩しに対する厳しい警告は行ってきました。当局自ら、「経常的に財政基金等の取り崩しに頼る予算編成は、本来行うべきものではない」と表明したこと、今年初めて「基金の取り崩し額をあらかじめ確定する」という手法を取ったことは評価したいと思います。
しかし、これらも以前よりこちらからは指摘してきたことであり、昨年度「財源不足解消と、H30での経常収支比率85%のための具体的な手立ての取りまとめを行う」と答弁いただいていることを考えれば、上記を含めた取り組みはあくまで財政当局における技術論の域を超えないオペレーションだといえます。
総じて「財政当局は予算編成において大変な苦労はしたものの、抜本的な財政運営改革についての議論はしてこなかった」ということだともいえます。
それに対し、市長が「可能な限り経費を削減すること」といったレベルの意思表明しかしていない、ということは非常に嘆かわしい状態だと言わざるを得ません。そのようなことでは、H25末の財政不足累計額99億円の解消などが困難であるのは明らかです。現に今年こうして当初予算が組めていることなどから、財政当局以外の危機感を喚起できていないのではないかと感じます。改めて、強い要望として、財政当局・総務局から全庁に対して、いっそう財政状況の危険性をアナウンスすること、それに応じて、事業の取捨選択に関して、明確な指針を出すことを要望します。






