■profile
今村岳司/いまむらたけし】
西宮市議会議員/3期目 1972年、西宮市生まれ。 甲陽学院高・京都大法学部卒■浜学園講師・リクルートを経て99年、市議トップ当選(26歳)

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2009年6月

フレンテに多額の税金投入が決定
今後は第3セクターの処理と、取得した資産の有効活用が急務と指摘

  昨年9月のコープこうべ(以下コープ)の撤退表明に端を発したJR西宮駅前の商業ビル「フレンテ西宮」(以下フレンテ)を取り巻く課題について、西宮市議会では、新設されたフレンテ問題特別委員会(委員長:田中正剛議員/委員:木村カサブロー議員)で集中的に議論されました。
 「フレンテ問題」は、複雑な要因が密接に絡み合っていますが、大きく二つの問題に分けられます。
 一つは、フレンテの管理会社である、第3セクター「西宮都市管理株式会社」(以下都市管理)の問題です。この第3セクターはずさんな経営によって経営危機に陥っており、6月定例会ではこの都市管理に1.5億円の短期貸付を行ったことの承認を求める件が議論されました。
 もう一つは、コープが撤退するフレンテの2・3階を8億円の税金で取得する問題です。多額の税金を投入するのですから、当然、西宮市全体の利益につながらなくてはなりません。
フレンテフロアマップ  このような課題について「にしのみや未来」は詳細な調査に基づいて議論をし、都市管理の早期清算を主張するとともに、
(1)都市管理にこれ以上の税金投入を行わないこと
(2)2・3階部分に関して適正な賃料を確保し、テナントが見つからない場合には公共施設への転用を図ることなどを盛り込んだ決議案を成立させました。

●再建不可能な都市管理

 都市管理は平成19年度、20年度ともに約3600万円の黒字を計上しており、一見良好な経営状態にあるようですが、実際はそうではありません。都市管理は多くの経営課題を抱えています。

★都市管理の抱える問題点

都市管理の問題点

(1)カラクリで隠された資金不足
 都市管理は、これまで4月に市から約10億の資金を借り入れ、翌年3月に銀行から一時貸付を受けていったん返済し、4月にまたほぼ同額を市から借りるという方法で資金不足を取り繕ってきました。ところが今年6月に総務省から、経営状況が悪い第3セクターに対する短期貸付を止めるようにとの指導が出たため、今後こうした手法は使えなくなります。この方法に代わって銀行からの融資に切り替えた場合、年間6700万円(※)もの返済を強いられることになり、現在計上している黒字はすべて吹き飛んでしまいます。
(※)元利均等・20年返済・利子3%の長期貸付に切り替えた場合

(2)高い天下り人件費などの高コスト体質
 建物管理は都市管理が直接行っているのではなく全て外注であり、本来なら数名で回せるような業務内容にも関わらず、実際の職員数は16人と、非常に多くなっています。また、会社経営の経験もない天下り職員の給与が高すぎます(年間600万円・ちなみに平均的な天下り職員の給与は年間400万円程度)。しかも、外注している建物管理業務の大部分は競争入札ではなく随意契約であるために、高い外注費を支払っています。そのため建物の管理費が非常に高く、テナントから管理費の値下げ要望が出続けています。

(3)返還すべき預かり金の使い込み
 テナントの敷金(1.36億円)や、平成25年までに返還すべき出店時の一時預かり金である「建設協力金」(4.82億円)など、本来置いておくべき資金を使い込んでしまい、全く残っていません。

(4)ドル箱の駐車場代が激減
 都市管理の年間売上高は約5億円ですが、ドル箱である駐車場運営協力金(1.33億円:駐車場の賃料)がコープからの要請で大幅減額を強いられ、年間3000万円もの減収が見込まれています。

(5)賃料の逆ザヤ
 他の権利者の店舗床を高く借上げ、テナントにはそれより安い価格で貸しているために年間2300万円もの損失(逆ザヤ)が発生しています。

(6)議会無視の不適切な貸付
 今年4月には議会の承認を得ずに専決処分で1.5億円の短期貸付を受けましたが(後述)、これがなければ資金不足で倒産していました。

 @〜Eにみられるように都市管理は実質的な破綻状態にある上、4月に入ってからはコープの2・3階部分の撤退とその他のテナントの相次ぐ退店により、経営状況はさらに悪化しています。
にしのみや未来は、フレンテ問題特別委員会の場で「都市管理が行っている事業は公共性も採算性もない。総務省の指導に従って会社を清算すべき」と迫りましたが、市当局は「経営検討委員会(仮称)」を立ち上げて検討するとし、結論を先送りしました。

●都市管理に対する1.5億円もの、でたらめな緊急融資

 今回、市は1.5億円を都市管理に緊急融資しました。通常、銀行から融資を受ける際には再建計画の策定や担保の設定が必要です。ところが今回の緊急融資に際しては再建計画もなく、適切な担保も設定されていませんでした。このような状態にある都市管理に対して、議会の承認なしに、1.5億円の税金を融資したことには重大な問題があります。

●市民にどう還元されるのかも曖昧なままに、8億円もの税金を投入した市

 市は、コープの2・3階部分の床を8億円の税金で買い取ることを決定しました。多額の税金を投入するわけですから、その結果が単純に民間企業であるコープを救済することや、第3セクターのツケを支払うことになってはなりません。  多額の税金が投入された以上、その税金が市民に対してどう還元されるのかを示す必要があります。しかし、この取得の目的をフレンテの活性化だとしながら、市は、根拠を示すことなく、コープに代わる新しいテナントを誘致すればフレンテが活性化すると主張するばかりです。
 私たちは8億円もの税金投入に見合った賃料を新しいテナント事業者からきちんと取ることが必要だと考えています。
 また、市が床を取得する8月以降は、月1200万円の管理費等を支払わなくてはなりません。市が所有したままテナントが決まらなければ、毎月意味もなくこの経費が税金から支払われていくことになります。よって、適切なテナントが見つからなかった場合には早急に公共施設(例えば保育所や直近に建て替えを要する施設等)への転用を検討することも重要です。そこで、こうした条件を盛り込んだ決議案を提出し、賛成多数で可決されました。これによって、今後の市の対応に関して一定の制約を課すことができたと考えています。

TOPIC1:「フレンテ問題」の原因は何か

昨年9月のコープ撤退表明に端を発したと思われているフレンテ問題。
しかし、元をたどればずさんな3セク経営にその根本原因があります。

■駅前再開発と第3セクター西宮都市管理株式会社の設立
 市は、平成元年からJR西宮駅南地区の再開発事業に取り組み、平成7年8月に駅前広場、ショッピングモール・オフィスからなるフレンテ西宮(以下「フレンテ」)、マンション棟のラ・ヴィータ、ヴィエントを完成しました。また、これらの施設の管理運営を行うため、市が筆頭株主となって第3セクターの西宮都市管理株式会社(以下「都市管理」)を設立しました。
 しかし、再開発で完成したフレンテの駐車場床と店舗床の一部には買い手がつかず、売れ残りました。この再開発事業は、市が中心となって施行したものです。そのため、筆頭株主である市の意向で、都市管理が売れ残った床を購入することになりました。こうして、都市管理は、床購入に必要な資金15億円を銀行から借り入れ、設立当初から大きな負債をもつことになりました。

■取り繕ってきた都市管理の経営
 その後、都市管理は15億円の返済が大きな負担となって赤字決算が続き、平成12年には累積赤字が約1.5億円にのぼり、倒産の危機を迎えました。そこで市は都市管理の倒産を防ぐため、元金を毎年2000万円ずつ減額することを条件に、都市管理に11.5億円の無利子短期貸付を始めました。これによって、都市管理は倒産の危機を免れましたが、市の支援による経営状況の改善は一時的なものでしかないうえ、元々の高コスト体質もあり、厳しい経営状況が続きました。

■市と都市管理の対応のまずさからコープの撤退に  都市管理は駐車場運営協力金(駐車場の賃料)をはじめとした管理費等を、世間相場より大幅に高く設定することで経営を継続してきました。しかしながら厳しい経済情勢の中、こうした賃借条件にテナントの同意を得続けることは困難です。実際、昨年2月以降、コープこうべ(以下「コープ」)は駐車場運営協力金の見直し/コープ所有床の譲渡/フレンテ全体の再生と都市管理の経営の見直し等、具体的な内容について市との協議を求めました。ところが市と都市管理は、こうした申し入れを実質的に無視し、なんら対応しませんでした。こうした経緯を踏まえ、昨年9月、コープはフレンテからの撤退を表明し、その後、あわてた市は泥縄式の対応を進めることになります。(最終的にはコープが所有する商業床のうち2・3階部分を市が買い取ることを条件に、B1・1階での営業を継続することを表明しました。)

■第3セクターのありかた自体が課題
 このように、現在のフレンテ問題の多くは、再三にわたる議会からの指摘にも関わらず、長期にわたって単なる天下り先と化していた都市管理のずさんな経営姿勢が原因です。都市管理が財務状況改善・高コスト体質の抜本的な改善に真剣に取り組むのか、総務省の通知に基づいて粛々と清算するのか、その選択が問われることになります。

TOPIC2:議会から決議を提出

これ以上の無思慮な税金投入が行われないために決議を提出しました。
今後はテナントの賃料と3セクの処理が大きな課題となってきます。

■6月定例会での審議と決議の可決
 都市管理への1.5億円の緊急融資の件と、フレンテの2・3階部分の床を市が8億円で取得する件に関しては、6月定例会で集中審議されました。
 7月3日の本会議で今村岳司議員が、6月に総務省から「第3セクター等の抜本的改革の推進等について」という通知が出ていることを指摘した上で専決処分による緊急融資に関して議案質疑を行いました。続いて7月8日のフレンテ問題特別委員会で集中的に議論し、翌日の本会議最終日で議決することになりました。しかし、フレンテの2・3階部分に対する入居希望テナントの申し込み期限は7月10日であり、6月定例会の議会では結論できない点も多々ありました。
★議決が求められた時点で、未確定であった主な内容
○2・3階部分新テナントの契約相手、 契約条件
○新テナント誘致ができなかった場合 の床の有効利用策
○JR西宮駅前地域の活性化ビジョン
○都市管理に対する今後の措置の方針
 そのため、議決に際し決議を採択することによって、この問題に対する議会の意思を明確にし、今後の市の方針に一定の制約を課すことにしました。

●決議の内容
(1)誘致するテナントには、特定企業の利益誘導とならないよう、8億円の投資を残された建物の耐用年数内に回収できる適切な家賃で契約すること。
(2)フレンテ西宮活性化ビジョンや賃貸条件などについて、議会(=市民)とともに協議を続けること。
(3)前記2点が順調に進まなかった場合は、市有財産となる床を有効活用するため、速やかに公共施設(保育所や近々に建て替えを要する公共施設など)としての利用を検討すること。
(4)都市管理には、これ以上、市税投入による支援を行わないこと。

●決議の意味するもの
   市長から提出された議案の議決に際して、決議が付されたことは、非常に珍しい事態です。これは問題の重要性と、この問題に対する議会の問題意識の高さを物語っています。今後も慎重かつ機動的に特別委員会での議論を進め、議会としての意思表示をしていく必要があると考えています。

■テナントはニトリに決定
〜今後は第3セクター都市管理の処理が課題に〜

 その後、公募が7月10日に締め切られ、家具販売店2社、住生活提案大型専門店1社、書籍販売店1社の合計4社からの応募があったことが明らかにされました。これを受けて7月23日に再度フレンテ問題特別委員会を開催し、選定結果と今後の予定を確認しました。
★7月23日時点で明らかにされた主な内容
○テナントは住生活提案大型専門店のニトリに決定されたこと。
○賃料は、月額4725円/坪(管理費等込み)であること。
○弁護士・会計士・学識経験者で構成される3セクの「経営検討委員会(仮称)」を8月中に立ち上げること。

 この賃料では、市の金銭的支援なく都市管理を存続することは不可能です。したがって私たちは、市に議会の決議を遵守させるには、今後の都市管理のゆくえが重要なカギを握ると考えています。「経営検討委員会(仮称)」での議論に注視するとともに、フレンテ問題特別委員会での議論を通じて、決議の通りこれ以上の市税が投入されることのないよう取り組んでまいります。

配布用

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●裏面

関連

→●西宮都市管理株式会社への短期貸付の専決処分報告に対する質疑
→●西宮都市管理株式会社への短期貸付の専決処分報告に対する討論

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