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今村岳司/いまむらたけし】
西宮市議会議員/3期目 1972年、西宮市生まれ。 甲陽学院高・京都大法学部卒■浜学園講師・リクルートを経て99年、市議トップ当選(26歳)

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2009年3月

予算に対する討論

 3月定例会は、年度当初予算案が上程されて、議論されます。
 当初予算案は議会で審議するべきものの中でも最も重要なものですから、単に賛成するだけではなく、それに対して賛成の意図や意見をきちんと討論しておく必要があります。

 例年にも増して、ひどい予算案でした。何のビジョンもなく、課題を先送りする無責任で愚かしい市長の行政態度が如実に顕れたものでした。

 本来であれば、この予算案には反対するべきなのでしょう。しかし、反対はしませんでした。私が反対したところで、予算案が否決されないのであれば、その態度表明は意味を持たないからです。
 屈辱的でしたが、賛成しました。
 賛成したことによって、この予算の執行を監視し、意見し続ける権利を得ることにしました。
 反対するのは簡単。ただ、反対することによって今年の行政運営に対する責任を放棄することは、かえって無責任なことだと判断してのことでした。

討論第一章:無責任な行政運営

 ただいま上程されております議案第285号、平成21年度西宮市一般会計予算ほか各会計予算案につきまして、にしのみや未来は賛成いたします。
 しかし、現在の財政状況を鑑みれば、この予算を手放しで賛成するわけにはいきません。ともかく、将来にツケを残さない堅実な行政運営をしていただきたいと厳しく申し上げなければなりません。その立場から、この予算案に対しての意見を申し述べたいと思います。

 昨年の代表質問でも、長期的視点を無視した財政運営を厳しく批判する質問を行いましたが、市長はその質問を嘲笑うかのように「平成20年末の基金残高は52億あり、平成16年時点から考えると隔世の感がある」と軽薄な答弁するなど、財政状況を楽観視しておりました。しかし、昨年2月に発表された財政収支試算表では平成25年に9億円の黒字に転換するはずだった実質収支は、この2月に発表されたものによれば138億円の赤字が見込まれており、1年で147億もの下方修正を余儀なくされたことになります。

 代表質問でも、これら財政運営の失敗はまるで外的要因による不可避な事故だと言わんばかりの無責任な答弁をされました。「本市の財政を取り巻く状況は、一年前とは大きく様変わりしている」という全く反省のない、当事者意識の欠落した市長答弁には、もはや怒りすら覚えません。ただ呆れるばかり。

 まず当局は、財政運営に対する楽観意識を反省されよ。そして、行政運営に於ける哲学を根本から修正されよ。

 今年の予算だけではなく、今後、本市を取り巻く財政状況は厳しさを増すと想像されます。「いまがいちばん厳しいときだから何とか耐えよう」というつもりが当局の政策から読み取られますが、このような楽観的な運営が許されるような状況ではない、ということを、まずもって申し上げよう。

討論第二章:枚挙にいとまがない財政リスク

 今後予想される財政的リスクは、枚挙にいとまがありません。

 まずは介護保険に関する一般会計繰入金の増加リスクです。
 現状34.3億円の繰入金がありますが、高齢化の進展にともなう給付対象者の増加によって、この額が膨らむことは容易に想像されます。さらには、国の政策転換や周辺自治体の動向によって、一般会計繰入金の割合を増加させなければならなくなることも考えられます。国の方針が信用できない現状を鑑みれば、市としての政策方針を定めておく必要があります。

 ついで、今年度の予算にも影響が大きく現れている児童急増対策事業です。新年度予算では保育所関連で5.5億、学校関連で10億が計上されておりますが、これは明確に人口増加を手放しにして開発調整を怠ってきたツケだと言えます。この子育て福祉にとどまらず、福祉関連支出は、特にここ数年さらに増え続けることでしょう。

 ついで、中央病院に関するリスクです。平成20年度は12月に8億円もの補正を余儀なくされるなど、抜本的な経営改善がなされないまま、一般会計からの繰入金は増える一方です。さらには、後送りにしている耐震工事の問題もあります。現在総務局による耐震工事経費の試算は単位あたりの一般的な耐震工事経費をもとに試算されているとのことですが、入院患者を抱える病院で、学校などと同様の耐震工事が可能だとは到底考えられず、さらに膨大な経費がかかるか、もしくは建て替えをしなくてはならなくなるなどの恐れもあります。

 当然、中央病院にとどまらず、これから耐用年限の迫るあらゆる施設の改修や更新は大きな財政リスクです。西宮市耐震改修促進計画において、耐震化にかかる費用は、92.9億円と試算されております。さらに、中長期修繕計画では10年で72億円の修繕経費を予測しております。しかし、この経費には建て替え経費が見込まれておらず、建て替え経費までを合わせて試算すると、今後50年で年平均30億円の経費がかかることになりますが、この経費は先送りされており、現在の財政計画には反映されておりません。

 その他にも災害援護資金の未償還分42.3億円の焦げ付きリスクや、市長公約に上げられた事業のうち、一般財源の追加分47億円など、10億円単位のリスクはたくさんあります。

討論第三章:慎重な議論が為されないままの各種事業

 このように多大なリスクが想定されているにもかかわらず、行政方針で「事業の取捨選択に努めた」とあったこととは裏腹に、予算に計上する前にもっと精査されるべきであったはずの事業がたくさん上げられております。以下、慎重な執行が行われるべきだと考えられる事業の指摘をさせていただきます。

 まず第一に、第三セクター都市管理株式会社への貸付金9億9千万円

が今年も計上されておりますが、現在の不安定な情勢では、いつ都市管理株式会社が破綻を迎えるともわかりません。そうなれば、短期貸し付け9億9千万が貸し倒れになるどころか、破産法や民事再生法の適用によって、さらに支出が膨れあがる恐れもあります。
 同様のことは、株式会社鳴尾ウォーターワールドへの貸付金6000万にも言えます。この会社に関しても改善計画は全く甘いもので、分科会での議論でも当局はじゅうぶんな答弁ができませんでした。
 これらに関して共通して必要なことは、まず第一に、第三セクターの責任と行政の責任を冷静に分離すること、第二に、この企業への支出が市民にどう還元されるのか、この支出によってどのように企業が経営改善されるのかを明確化すること、第三に、泥沼化しないように、どのレベルまでの支出を限度とするのかという政策的な枠組みを設定すること、です。これらの支出に関してはこれらの基準や要件が早急に明確化されなければなりません。

 次に、自転車駐車場整備工事費のうち、約2.9億を占める西宮北口北西地区自転車駐車場整備事業についてです。この地下駐輪場事業に関しては、機械自体の安全性に関して未だに議会で納得のいく説明を受けられていないこと、周辺の混雑などのシミュレーションが不足していること、公募をしてから構造上の問題や金額の問題によって入札が不調になったことなど、調査・報告不足の問題が多々あります。多くの施策をえらく長期に亘ってペンディングして放置する西宮市の行政にしては、えらく性急な事業化だと言えるでしょう。本市として初めての事業であるにもかかわらず、慎重さを欠いています。
※この地下駐輪場事業に関しては、某2議員からの口利きが疑われているが、真相は闇の中である。私も明確に口利きがあったと断言できる根拠は何も持ち合わせていない。あくまで状況から疑っているだけである。それについては、2009年10月30日開催の建設常任委員会の議事録を参照されたい。

 三番目に、福祉医療費助成制度の見直しについてです。入院にかかる医療費自己負担分の一部助成を中学三年生にまで広げるこの新施策は、いっけんすると非常に市民に歓迎されるべき施策ともとれますが、この制度によって在宅医への負担が増え、ただでさえ不足している小児科医が西宮での診療を敬遠し、小児医療体制自体にひずみを生む可能性も秘めております。さらには、入院目的での転入が増える可能性も捨てきれません。このように、施策が及ぼす影響についての調査が不足しており、施策としても唐突感が否めません。

 それ以外にも、効果が期待できないまま、やることじたいが意義となってしまっている、総額6億円にも上る文化事業・啓発事業や、いちど行財政改善実施計画で少しは圧縮したにもかかわらずまた無思慮に新設されている補助金など、明確な基準のないまま検証もされずに予算化されている事業も多々あります。

討論第四章:四点の要望

 市長はこの予算を「市民のニーズに基づく公約を盛り込んだ」と代表質問において答弁していましたが、それで財政を破綻させてそのツケを市民に押しつけてしまうのでは、全く無責任な態度だと言えるでしょう。
 新しい事業をするときにはまるで自分の金でその事業を市民にやってやったかのように胸を張り、その実はいまの子供たちの世代にツケを押しつけているというのが、現在の行財政運営の実態です。
 現在の市民ニーズと、将来的に持続可能な財政運営をバランスするのがプロの行政です。市民はそれを信頼しているからこそ、このまちに税金を払ってこのまちに暮らし、その上で市民ニーズを主張しているのです。彼らが安心してこの街に暮らし続けられるために、以下の四点を切に要望します。

 第一に、本格的な事業の取捨選択をすることです。
 まずは現在の財政状況が非常に厳しいと再認識した上で、行政が責任を持って行わなければいけない事業が何かをよくよく認識していただきたいです。ほんとうに支援するべき層に対する社会保障と、安全なまちづくりと、高品質な学校教育の提供こそが行政の本来の責任です。思いつきのような新規事業が多々上げられた実施計画を見ていると、これが基金を61億も削ってやるような事業かと、ほんとうに情けない気持ちになります。事業を選択することから逃避し続けていては、結局そのツケを将来の世代に押しつけることになってしまいます。そうなる前に、きちんと説明責任を果たして、膨れあがった不要な事業をスリム化するべきです。

 第二に、人件費を聖域とせずにメスを入れていただくことです。
 代表質問の答弁では、財政見通しのズレの原因のひとつに、人件費の増加を挙げていました。自ら内部要因である人件費の増加を原因とするのであれば、自らその課題を解決されるのが筋であろう。人件費を高止まりさせるのであれば、事業を削ればいい。そしてそれを市民に問えばいい。人件費はどこまでいっても内部要因です。人件費を高止まりさせた結果として西宮市の財政を破綻させてしまうとすれば、その責任は誰がおとりになるのか。思い切った人件費抑制政策が打ち出されるべきです。

 第三に、上記によって計画的に財政再建をしていただくことです。
 またしても右から左に使われていく基金ですが、総務局は、基金は震災前の水準の200億程度が目安だと答弁しました。ならば、どうやってそのような基金を用意するのか。
 また、経常収支比率は平成30年を目処に85%まで引き下げたいとおっしゃいました。ならば、どのようにして現在の危機的な状況からドラスティックな財政改善を行うのか。
 総務局長の答弁のなかで平成21年度中に具体的な手だてのとりまとめを行う、とありました。これは本会議場で局長が発言したことであり、絶対に保護にされてはなりません。その具体的な財政改善策の設計に早期に取りかかっていただきたいです。

 第四に、すでに破綻していることが明らかな第四次総合計画についてです。
 このまま運用すれば、第三次総合計画同様、膨大な施策の積み残しを発生させて、さらに次の総合計画年次の行政運営に大きな負の遺産となりかねません。そうならないためにも、楽観的な見通しに基づいて作られた第四次総合計画の基本計画を早期に見直し、堅実な計画に設計し直していただきたいです。

 以上四点、この現在の財政状況を非常事態ととらえ、その改善策の早期設計を要求したうえで、討論を終えます。
 ご静聴ありがとうございました。

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