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今村岳司/いまむらたけし】
西宮市議会議員/3期目 1972年、西宮市生まれ。 甲陽学院高・京都大法学部卒■浜学園講師・リクルートを経て99年、市議トップ当選(26歳)

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2009年3月

アセットマネジメントについて。

極端なまでの先送り計画

 昨年9月の一般質問で、学校施設326棟に関して今後50年間の修繕・建替の総事業費を約1000億、年平均20億と試算しました。この質問時点では、直近の耐震化以外にはこれらのアセットマネジメントに関する見通しは為されておらず、長期計画設計の必要性を訴えました。このとき取り上げたのは学校施設でしたが、アセットマネジメントが必要なのは学校だけではありません。

 学校と市住を除くその他の施設の大部分は総務局の施設部が所管し、「中長期修繕計画」と「耐震改修促進計画」をつくっています。耐震改修促進計画では総額92.9億と試算しており、一方の中長期修繕計画は、117棟の施設に関しての10年間・総額約72億円の計画です。

 この中長期修繕計画には大きな問題点が2点あります。
中長期修繕計画

年度 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 合計
第3次総合計画 21,000 44,373 35,790 44,069 144,320 289,552

年度 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 合計
第4次総合計画 105,000 149,914 146,116 145,047 141,488 1,292,758 1,297,836 1,296,734 1,295,938 1,299,056 7,169,887

 ひとつは、お手元の資料に掲載したグラフをご覧になっていただければ一目瞭然なのですが、極端なまでの問題先送り計画となっているということです。最初の5年は年平均1.2億を見込んでいるいっぽうで、そのあとの5年は年平均13億になっています。自分が市長でなくなったあとは知らないよということなのでしょうが、現時点の財政予測ではH25末時点での実質収支は138億円の赤字になっているはずであり、その状況から年13億円ずつの経費を捻出するのは非常に困難だと思われます。

主な建築物の建替経費を試算すると年平均30億

 また、この計画の最大の問題は施設の建て替えを全く前提としていないということです。お配りした資料の裏面に試算表がございますが、建て替え経費の試算に結果は、117施設で総額609億、年平均10億の経費が今後見込まれるということになります。これに以前試算した学校施設のぶんを合わせると年平均30億ということになります。
●全試算結果の表へのリンク

集中的なアセットマネジメントの必要性

 このような西宮市のアセットマネジメントには2つの大きな課題があります。ひとつはその計画の推進主体が分散しているために、長期的・全庁的視野に基づいた全体最適が図られておらず、専門的ノウハウが蓄積していないこと。もうひとつは計画の財政的裏付けが非常に乏しいことです。

 今後10年ほどで施設の耐用年限が一気にくるため、現在のように場当たり的な施設の改修や新設をしていては、経費がさらに膨大になってしまいます。そのことから、これからはライフサイクルコストを意識した効率的な計画に基づいてアセットマネジメントを行うことによって、施設の統廃合を含めて総合的に判断する必要性が高まってきます。
 このようにアセットマネジメントの計画は、複合施設化、施設売却、PFI的な手法の活用なども合わせて戦略的に設計される必要があり、一箇所の部署が全庁の施設を集中的にマネジメントする必要があります。

 さらに、昨年から「補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律」の22条の運用緩和が内閣府によって決定されたことを受けて、補助対象施設の用途転用が可能になったことから、複合施設化などの総合的な判断が可能になりました。茅ヶ崎市では「公共施設整備・再編計画」を発表してH20から企画部と建設部の該当部署を統合したかたちで施設再編整備課を設置し、学校を含めた施設の整備計画を集中して進行管理することを始めました。

 全施設をこのまま存続させることは財政的にも不可能であることを当局は認め、その長期的な存廃問題に関して、毎年の実施計画策定のときの局同士の綱引きにゆだねるのではなく集中的なマネジメントを行っていく必要があるのです。

財政的裏付けのための基金の必要性

 また、現在の本市の状況に見られるように、将来的な財政裏付けに関する議論を先送りにする体質を大きく変える必要があります。施設整備にかかる負担の世代間格差を平準化する必要があるからです。現在の日本は、全国的に高度経済成長期いらいの無思慮な施設整備のツケを支払わされています。そして、その体質は現在の西宮市にも脈々と残っております。庁内の根本的な発想として、「起債」は国・県の補助と同じく「自分の財布ではない」という発想があります。「それは起債でまかなえますので問題ありません」という発言が多くの職員から聞かれるのです。起債は即ち将来の一般財源ですから、次世代への負の遺産です。現在必要な施設整備のツケを次世代にむやみに遺してはなりません。前の世代は我々に無責任に負の遺産を押しつけてきました。だからといって我々が後の世代に同じことをしていいというのは筋が通りません。基金をちょっと積めばすぐ右から左に使っているようないまの行財政運営は、まさに前世紀的な態度だといえるでしょう。前の世代の失政を取り戻すためにも、いまの世代で大きなパラダイム転換を行わなくてはならないのです。

 そのためにも、公共施設の整備のための基金の積み立てが必要です。昨年秋に、先ほど紹介した茅ヶ崎市では「公共施設等再編整備基金」を設置しました。H20に積み立てを開始し、H24末に42億を目標にしています。これは西宮の財政規模に置き換えると、毎年14億ずつ一般会計から積み立てをしてH24末に115億円の基金をつくる、という規模のものです。先ほどの財政の質問の段で述べたことを考えれば、先で毎年30億が施設の整備に消えていくことになります。それを実現するのなら毎年30億円ずつ使えるようにいまから基金を積み立てるか、いまのうちに施設の統廃合を進めるしかないのです。まるでここのところの不景気と財政危機を乗り切れば先の見通しは明るいかのような発言がよくきかれますが、10年先はいまより厳しい状況になっていることは明らかです。だからこそ、いまのうちに対策を立て始めなくてはならないのです。

質問

・教育委員会に対して〜半年前からの進捗

・昨年9月の定例会では学校施設に関して「中長期に亘る修繕計画の策定も必要」と答弁があったが、計画の策定はどのようなスケジュールで考えているか。

・同じ質問において、学校施設整備のための基金設置を「選択肢のひとつになると思う・関係部局と十分協議を行っていきたい」と答弁があったが、関係部局とどんな協議を行い、どのような進捗になっているのか。

・集中管理と基金の必要性

・現在、総務局施設部が「中長期修繕計画」をつくっているが、病院・水道局・下水道の企業会計の建築、学校園、市営住宅がはいっていないこと、修繕のみの計画で、建替や改廃や統合については触れていないこと、そもそも課題を後年度送りにしていること、など、問題が多々ある。
・全庁の建築系インフラの整備に関して集中的に管理する部署を置き、計画を立てる必要があると思うが、どうお考えか。

・現在残高がほとんどゼロになっている「西宮市公共施設等整備基金」の積み立てを再開しなければならないと考えているが、どうお考えか。

学校施設のアセットマネジメントに関する答弁と意見
 〜総合的な整備計画を遅くとも3カ年のうちに策定

・H21より「学校施設の中長期修繕計画」策定に向けての作業チームを教育委員会内部に設置し、データ収集等の作業に着手。
・総合的な整備計画を遅くとも3カ年のうちに策定。
・整備費用の平準化や民間活力の導入も重要。
・基金の活用は、データ収集後。

→余剰マンパワーでやろうとすると3年かかる。当然、重点事業に指定してマンパワーを割けばもっと早くできる、ということ。とにかくスピード感がなさすぎる。

全庁インフラの集中管理の必要性に関する答弁と意見

・市営住宅では管理計画を作成し、PFI手法なども用いて施設整備計画をしていくことになっている。
・施設の建替や修繕は各所管課が「中長期修繕計画や施設の状況」「社会情勢の変化」「市民ニーズ」などを勘案し、総合計画のスパンでは企画や財政と協議して作成している。 ・各所管でばらばらにやったほうが効率的だと考えている。しかし、技術的な側面からの建替方針を明確にするために、指標を定め、長期的展望も踏まえた資料を作成するなど、各所管の計画立案を支援していきたい。

→そもそも施設寿命は10カ年のレベルではないのだから、総合計画のスパンにとらわれない計画の設計が必要。

公共施設等整備基金の活用に関する答弁と意見

・財政状況等を勘案しながら基金の活用について検討していきたい。

→財政状況を勘案するなら「活用できない」と簡単に結論されるではないか。財政状況ありきで計画するのではなく、公共施設の整備にかかるコストを先に考えた上で財政計画を立てるべきだ。

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