2008年9月
平成19年度決算認定に対する賛成討論
ただいま上程されております認定第9号、平成19年度西宮市一般会計および特別会計歳入歳出決算認定の件につきまして、にしのみや未来は、賛成の立場で意見を申し上げます。 各事業に関する詳細な意見は、我が会派の各委員が各分科会で申し上げたとおりですので、重ねて申し添えることは致しません。この場では平成19年度決算、当局の財政運営に対する総論を申し上げます。
3189億円の将来負担額〜平成22年からは単年度赤字見込
決算総額や各種財務指標に関する紹介は割愛させていただきますが、36億円という単年度の実質収支の黒字もあり、確かに平成18年度決算よりは好転しておりますが、なお楽観視するべきではないという観点から、2点のことを申し上げさせていただきます。
一つは、堅実な財政運営をすべきだということ、もう一つは、限られた資源で市の課題と市民のニーズに対応する施策を行うために、ビジョンに基づいた市政運営をすべきだということです。
以前より、市の負債は、連結会計で考えるべきだと議会でも指摘してまいりましたが、今年より導入されました将来負担比率という指標によってそれが公開されることになりました。
将来負担比率を計算するために必要な「将来負担額」は、市債の残高、債務負担行為残高、公営企業の負債、退職手当などを足し込んだもので、平成19年度決算では3189億円となっております。同じ計算を平成18年度決算に当てはめておこなうと、3383億円となり、平成19年度で約200億円減少したことになります。
昨年の決算に対する討論では、これとは違った計算方法で独自に市の連結会計上の負債の合計として計算して分析を致しておりましたが、それを見ても、平成16年頃から同じく、だいたい年200億のペースで減少しております。
昨年も申し上げたことなのですが、一般会計の市債残高と債務負担行為残高の合計は2281億円であり、震災前約1000億円くらいだったことを考えると、依然として膨大な借金が残っていると言えるでしょう。真に財政が健全化した、というためには、あと1300億程度は圧縮する必要があります。
一方で、基金の残高は、平成18年度末時点で財政基金が約48億、減債基金が約44億だったところに、昨年の決算剰余から約29億円を積んで、財政基金が76億円、減債基金が46億円となり、合計は約122億円になりました。しかし、この額を以てしても、じゅうぶんな基金残高とは言えません。
事実、財政当局が平成20年2月に発表している「西宮市財政の現状〜西宮市の財政を考える6」の予測に於いても、退職手当が平成20年をピークに22年まで高い水準で推移すること、平成23年までは公債費元利償還金が高い水準で推移することなどから、平成22年・23年・24年は単年度赤字を見込んでいます。
不安要素〜景気後退・扶助費の伸び・インフラ整備経費・一般会計外のリスク
そもそも、この「西宮市の財政を考える6」の予測よりも、現実はさらに厳しいということも認識しなければなりません。
この「西宮市の財政を考える6」では、平成20年1月に閣議決定された経済見通しにおいてGDPの実質成長率の見通しが2.0%程度と発表されたことに従って、今後の税収の伸びを年2%と試算しております。しかし、それ以降の内閣府の月例経済報告では月ごとに景気後退を印象づけ、いよいよ8月と9月に公表されたものでは「景気は、このところ弱含んでいる」というふうに、景気後退を示す基調報告から始まっております。内閣府の月例経済報告は楽観的な予測を戒めています。
このようなことから、現在の財政見通しの根拠となっている「市税の年2%の増収」というものも安心して根拠とすべき条件ではあり得なくなっているといえます。ましてや、総合計画の市原案において使われている計量経済学による楽観的な財政予測などは笑止としかいいようがありませんが、これは決算の討論とは無関係なので、これ以上触れることは致しません。
この「西宮市の財政を考える6」の予測よりも現実は厳しくなると予想されるのは、あと、扶助費です。予測では、これまでの推移から推測して今後の扶助費の伸びを年3%と計算しています。しかし、今年3月の代表質問で指摘したとおり、平成19年6月に総合企画局が発表した「西宮市の将来人口推計報告書」で予測された人口に基づいて計算すると、さらに伸びることが予想されます。
さらには、先日の一般質問で言及しました通り、今後はインフラの維持・整備において多額の財政負担が見込まれることは明らかです。一般質問でふれた学校施設の維持・整備費用のみならず、道路・下水道等の維持管理も含め、公共施設の維持・整備については、高度経済成長期に整備したぶんの更新が今後ピークを迎えていくことからも、長期的な視野と相当な危機感を持って財政運営にあたることが求められています。
さらに指摘すべきは、西宮市の一般会計とは別に、中央病院や西宮市都市管理株式会社もそれらの経営が市の財政に飛び火する可能性をぬぐえないということです。例えば、中央病院は資金不足比率が21.7%であり、平成18年度の15.1%よりも大幅に悪化しており、目標としている平成22年の不良債務ゼロはかなり難しい状況です。
単年度赤字が解消されていないにもかかわらず、累積債務を解消できるはずがありません。今後長期にわたって一般財源からの繰り入れを繰り返すわけにはいきませんので、期限を切った独立行政法人化をめざすべきであり、当局もその方針を視野に入れた発言をするようにはなりました。
しかし、そのためには不良債務をゼロにすることが条件です。そうなれば、最終精算するために一般財源からの大きな繰り入れが必要になる可能性があります。
現在の当局には、それに関する明確な政策オプションがあるわけではなく、問題を先送りにしている姿勢は大変危険だと言わざるを得ません。
また、西宮市都市管理株式会社にも破綻の可能性があります。年間約10億円もの貸し付けをおこなっていますが、今月あきらかになった核店舗の撤退表明によって、その貸し付けがいつ焦げ付くとも限りません。
このように、一般会計の外にも、西宮市財政を取り巻くリスクは多々あり、それに対する用意も求められております。
また、昨年の討論でも述べたことですが、かつての震災で西宮市の税収は一年で850億から680億と、170億もの大幅な減収を経験しております。このような災害等の不測の事態による市財政への影響も考慮に入れる必要があります。
このように、多額の連結負債、未だ充分ではない基金残高、見通しより減収が予測される税収と増大が予測される扶助費、今後膨大な財政負担が予想されるインフラの維持・整備、中央病院や西宮市都市管理株式会社などの一般会計外のリスクなど、現在の財政状況は依然大変厳しいと申し上げなければならず、今後の堅実で効率的な財政運営が望まれます。
重点政策の明確化が急務
また、さらには、このような厳しい財政状況に於いて、限られた資源でより多くの市民のニーズ・要望に応えていくためには、効率的な行政運営だけではなく、行政の課題の明確化、それによる重点政策の明確化が急務だといえます。しかしながら、平成19年度の事業は論理的根拠のある特徴的な重点政策の明確化が行われているとは言えません。
平成19年度予算が策定される前の平成18年11月には市民満足度調査の結果が報告されていますが、それによると、「スポーツ・レクリエーションの振興」や「都市型観光の振興」や「芸術・文化活動の振興」など、現市長が積極的に推進している政策に関しては、西宮市民が「重要度」の低い政策分野だと判断していることがわかります。
一方で、福祉施策や「災害に強いまちづくり」「防犯・交通安全対策の推進」など安心・安全施策、そして教育施策、特に「小中学校教育の充実」などは、「重要度が高い」かつ「満足度が低い」政策分野だと判断しています。加えて特徴的なのは、行政経営改革・行財政改善などについても「重要度が高い」と判断しているのです。
西宮市民にとって必要なのは「ふれあい・感動」ではなく、福祉・教育・安全安心のまちづくりなど、西宮市民に安心感を与えられる地に足についた政策であり、現在の行政方針とはずれていると言えます。行政よりむしろ一般市民の感覚のほうがよほど長期的視野を持っているという、皮肉な結果となっております。 今後の行財政運営に関しては、思いつきや好き嫌いではなく、長期的な視野と、西宮市の現状に基づいた判断をしていただきたいと要望いたします。
市長選挙によってぶれる行政運営に対して厳しく警告
最後に付け加えさせていただきたいのは、この秋に予定されています市長選挙と行政運営の関連についてです。市長選挙が西宮市にとって大きな問題であるのは当然ですが、市の施策はその選挙に左右されずおこなわれるべきです。
市長選挙は4年に一回行われますが、行政サービスは連続しておこなわれますし、市の課題は選挙などに関係なく存在します。ですから、選挙のまえだからといって、浮ついた行政運営をされては、西宮47万に対して責任を果たしているとは言えません。
過度に財政状況を楽観視する態度、都市管理株式会社の件などのように問題を選挙後まで埋めたまま引き延ばそうとする態度、総合計画の市原案に見られるように将来に無責任な空約束をするような態度は、直ちに改めていただかなくてはならないと警告させていただきます。







