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今村岳司/いまむらたけし】
西宮市議会議員/3期目 1972年、西宮市生まれ。 甲陽学院高・京都大法学部卒■浜学園講師・リクルートを経て99年、市議トップ当選(26歳)

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2008年9月

長期的な学校施設整備計画の必要性

 昭和30年に始まった高度経済成長期に、インフラの建設ラッシュが始まりました。
・道路、橋梁、水道管、下水管、公園緑地などの土木系インフラ
・役所施設、学校施設、保育所施設、消防施設、病院などの建築系インフラ
・下水道施設、水道施設、環境施設などのプラント系インフラ
など、あらゆるものが建設されました。
 この時期に一気に建設されたものは、当然、一気に耐用年限を迎えることになります。ちなみに、鉄筋コンクリートの建設物は耐用年限が60年と言われています。大気中の炭酸ガスが徐々に浸透して、コンクリートのアルカリ性を弱め、内部の鉄筋が錆びるのに60年かかるからです。
 そして、昭和30年から数えて60年後は平成27年であり、いよいよインフラの更新ラッシュが始まることになります。議会でも、いろいろなものに関して「老朽化している」との指摘や、改修の要望が相次いでおりますが、要望を受けての場当たり的な改修・更新ではなく、長期プランに基づいた計画的な改修・更新が必要です。

 昨年6月に市営住宅に関する今後の長期的な整備ビジョンについて質問をしましたが、そのときには、今後50年で計画修繕費予測が368億円、建替工事費予測が1374億円というデータを都市局から取り寄せて質問をいたしました。
 今回は教育委員会の所管する学校施設に注目して調査をしましたが、教育委員会が現在の実際の改築計画として持っているのは、三次総からの繰り越し事業を含めて、
 ・浜脇小学校
 ・高木小学校
 ・用海小学校
の3校のみだということでした。

 西宮は昭和38年の宣言以来「文教住宅都市」をうたっておりますが、現実は「文教住宅都市」を志向する施策が実現していないと私は感じています。総合計画を制定する年度に文教住宅都市宣言の思いを改めて確認するのであれば、学校教育の拠点である学校施設の持続可能な整備について、当局として考えがあって然るべきだと考えています。
 学校施設は代わりの利かないものであり、災害時には地域拠点にもなるものであるからして、文教住宅都市として、また被災自治体として最優先に整備を保障すべきインフラのひとつです。

長期的な学校施設整備経費の試算

 そのため、今回は、学校施設の長期的な整備計画の必要性をデータによって検証し、あるべき政策について質問しようと思います。

 まずは教育委員会から小学校178棟、中学校109棟、高等学校12棟、幼稚園24棟、特別支援学校7棟について図面などのデータ提供を受け、今後の学校施設の整備にかかる市負担を試算してみることにしました。試算するにあたっては、建設後20年後と40年後に外壁改修、60年後に改築が必要と計算しました。
 耐震補強工事は国の方針に従って平成27年までに完了、耐震補強の必要な建築物に関しては、対象を平成21年から平成27年までの7年間に古い順に工事をおこなっていくと仮定しました。
 建て増しされた建築は古いものにあわせて年限を計算し、運動場と校舎の位置関係などから、
 ・西宮浜小
 ・樋ノ口小
 ・甲子園浜小
 ・西宮浜中
 ・平木中
 ・甲武中
 ・山口中
 ・今津中
 ・瓦木幼
 ・今津幼
 ・南甲子園幼
については、仮設校舎を建てずに改築が可能だと試算しております。

 工事にかかる単価は、
 ●耐震補強
  教室棟:平米単価2万円
  体育館:平米単価2.6万円
  (それぞれ近年の実績から算出)
  →「地震防災対策特別措置法」の補助で市負担額は1/2

  ●外壁改修(築後20年、40年)
  平米単価1.5万円

  ●改築(築後60年)
  教室棟:平米単価20万円
      解体に1.7万円
      仮設校舎が必要な場合には平米単価7.4万円
  体育館:平米単価を22万円
      解体に1.4万円
  →「安全・安心な学校づくり交付金」補助で市負担額は2/3

と試算しました。

試算の結果:今後50年間で総額1000億円の経費が必要〜質問

 この計算方法によって全建築物の今後50年の整備費用を算出した結果、はじめの平成21年から平成30年までの10年間は平均7億円の市負担が必要であることがわかります。

●↓学校施設整備にかかる市負担額(図をクリックすると詳しいグラフが表示されます)
グラフ画像

 この市負担の平均は、次の平成30年代には平均12億円、平成40年代には平均22億円、平成50年代には平均26億円、平成60年代には平均34億円となり、50年間で総額1033億円、50年間の平均で年間20億円もの膨大な経費がかかるという結果になりました。
●全試算結果の表へのリンク

 特に、平成40年以降で、年平均20億円が常態化することから、長期的な対策をとっておかなければ、20年後に大問題になってくるのはすでにあきらかです。相当な財政の用意が必要になってきます。
 しかし、実際には最初に述べましたように、現実的に事業化されている浜脇小学校、高木小学校、用海小学校以外に関しては特に計画もありません。この本市教育行政の状況に警鐘をならすべく、以下の質問をおこないます。

(1)学校施設の長期的な整備計画を設計するつもりはないのか。

(2)財政の基本原則からするとイレギュラーな考え方かもしれませんが、学校施設整備のための財政基金を設置するつもりはないのか

(3)過度な財政負担をかけずに長期にわたって安定的に学校施設整備をしていくための方策を、教育委員会として何か考えていることはあるのか。

答弁

 一点目の学校施設の長期的な整備計画を策定するつもりはないかとの質問に対してです。
 将来を見据えた長期整備計画の必要性があると認識しております。また、「予防保全」として外壁や防水、内装、設備機器等の修繕が効果的であることから、今後、中長期にわたる修繕計画の策定も必要と考えております。
 現在、喫緊の課題である学校施設耐震化推進計画の策定に取り組んでおりますが、将来を見越した施設の整備計画や修繕計画の作成についても、早期に計画を作成するため、まず施設毎の基礎データの収集や整理等の作業を早急に進めてまいります。

 二点目、学校施設整備のため、新たな基金を設置するつもりはないのかとの質問に対してです。
 一点目に述べましたように、今後、施設の老朽化が進んでいく中で、長期的な整備計画が不可欠となってまいります。議員ご提案の学校施設整備のための基金設置は選択肢の一つになると思われます。関係部局と十分協議を行なってまいりたいと思います。

 現在、西宮市は児童急増対策として、仮設教室の設置や校舎の増改築工事を行なっておりますが、近い将来全国的に見られる少子化に伴い、平成20年後半には児童数が減少していくものと予測されます。従いまして、長期整備計画の中では、必要な学校数について、現在の学校数にとらわれることなく、校区編成の見直しや学校施設の有効利用等、一定の整理も含め、再検討する必要があると考えております。
 また、整備計画を策定する上で、市財政や企画、また施設の担当者等、それぞれの専門性が活用できるようなチームの設置等も検討してまいります。現行制度を活用しながら整備費用の平準化を図ることや、民間活力を導入した施設の建設等も検討していく必要があると考えております。

要望

 まずもって、このようなことを計画も立てずにこの今まで放置していたことを大いに反省すべきと考えております。このまま場当たり的に改修や改築を進めていって、ある年次に、学校施設の整備を財政が許さないなどという状況になったらどうするおつもりだったのでしょうか。
 そもそも、平成27年までにやらなくてはならない喫緊の課題である「学校施設耐震化」の計画もこれからだ、というのは、あまりに暢気で無計画な態度といわざるを得ません。

 一点目の長期的な整備計画の設計については、その準備としてのデータ収集を開始するとのことでしたが、あまりにもお粗末といわざるを得ません。そんなものは当然すでに持っていて然るべきです。早急に準備を完了し、実際の計画の設計を進めていただくようお願いいたします。

 二点目の財政基金設置の必要性に関してです。公共施設等整備基金はここ数年の財政難で取り崩されてしまっており、財政所管分はもう無くなってしまっています。よく決算が何年連続黒字だとかいう発表をしておりますが、その陰で、こういうことになっているんだ、ということです。
 「現行制度も活用しながら整備費用の平準化を図る」という答弁がありましたが、これは暗に起債を意味していると考えられます。起債は現在の負担を将来に向かって平準化する手段であり、基金は将来の負担を現在に平準化する手段です。つまり、考え方は全く逆です。私が今回紹介差し上げた情報では、平成40年からさらにどんどん負担が増大するということを示しました。この状態で、負担を、さらに状態の悪化する将来に送ってどうされるおつもりですか?平成40年のことは平成40年の人間が考えればよいというのですか。質問の意図と提案の趣旨を正確にご理解いただきたいです。

 結局、自分の子や孫の世代のことより、自分の目の前のことばかり考えてきた世代の政治のツケが、いまから回ってくるわけです。私はそれをとめるために、10年前に議会にきたのです。将来の日本の主役である子供を育てることを使命としている教育委員会が、負担を将来に送るというオプションを前提とした政策展開を考えていること自体を恥ずべきです。
 改めて、将来の負担に対して、今できること、今しなければいけないことが何なのか、という考えに立って、教育委員会所管分の公共施設等整備基金の設置によって、持続可能な財政運営を担保して欲しいと要望いたします。

 最後の長期的な学校施設整備のための方策についてです。とにかく、教育委員会には長期的視点や経営視点がいかにも欠けているというのは、今に始まったことではありません。たとえば、学校を1校売却すれば少なくとも約1万平米、平米単価20万くらいはあるだろうから、20億円くらいは作ることができます。子供が減ったから学校を統廃合するとか、子供が増えたから無理矢理学校に詰め込んでプレハブを建てたりそれどころか校区を強引に変更したり、などという場当たり的な対応ではなく、計画的な統廃合によって資産を売却して整備資金を捻出するくらいのことは考えておかなければいけません。
 さらには、例えばスクールバスを利用するなどして校区を併合し、高層化して学校を統合し、それによって資産を売却するとか、さらに児童減少すれば、余った部屋や床を福祉施設などの他の用途へ移管するなど、思い切った長期的な計画が必要です。当然、学校が家から近くにあって、大きな運動場があって低層ののどかな校舎があることが理想です。だからといって、耐用年限の過ぎた危険な校舎で子供に学ばせたり、無責任に財政のツケをさらに後世にまで残すようなことをしてはなりません。ここまでの数十年来の無策を恥じるのであれば、これからの計画的な行政運営をするために、財政や企画、都市局など、教育委員会より先進的なナレッジを有する部署の助けを借りて、行政運営の体質から変換する必要があります。

 また、今回は教育委員会の学校施設について取りあげましたが、他のインフラを所管するあらゆる部署も同じです。これからの10年、さらにその先の10年は、全国的に、インフラ更新に膨大なコストがかかる危機的な時代となります。915億円の余剰があるからなどと脳天気なことをいっている場合ではなく、まじめに長期的視野に基づいたインフラ整備行政に取り組んでいただきたいと要望致します。

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