2008年6月
「参画と協働の推進に関する条例」を継続審査するための動議
ことの顛末
市長が強引に成立させようとしていた「参画と協働の推進に関する条例」は、3月議会への上程は見送られました。どの会派も賛成する雰囲気がなかったからです。もちろん「市民参画と協働の推進」という趣旨に反対する会派はありません。賛成する雰囲気がなかった原因は簡単で、条例の品質が低かったからでした。
しかし、当局は議会各派に対して「3月見送ったので6月は何とかお願いしますよ」という宥和策に出ました。なんと前近代的で非合理な…。しかも残念なことにその宥和策は成功してしまいました。しかも、中途半端に宥和策に応じた会派の意見をばらばらに取り入れたものだから、異様に不細工で、ある意味に於いては有名無実な代物に成り果ててしまいました。
私たちは、他の会派のように宥和策には応じず、あくまで「条例の法的品質がまだ完成していない」と主張してきた立場を貫くため、継続審査を主張しました。つまり、この議会で賛否をとるのではなく、議案を継続して議論することが必要だ、という立場です。
残念ながら、継続審査の動議は賛成少数で否決されたため、条例原案の賛否をとる運びとなりましたので、私たちは、賛否に参加せず議場を退場しました。
完全に山田市政は西宮市議会をなめています。そして、二元代表制をなめています。そして、西宮市議会はその屈辱に対して、立ち上がるほどには品位がない、ということです。
動議の本文
「議案第181号・西宮市参画と協働の推進に関する条例制定の件」につきましては、閉会中の継続審査とし、総務常任委員会に再付託されるよう、動議を提出いたします。
継続審査が必要だと申し上げる根拠は二点あります。
一点目、議会制民主主義を健全に実現させるために設定されているバランスを、改めて規定しなおす必要があるという点です。
地方自治においては、立法府と行政府の代表をともに有権者が選ぶという「二元代表制」で相互牽制を行うことで、緊張感のあるガバナンスを実現しています。
その相剋関係については、地方自治法178条において、議会からは首長不信任決議を提出することができ、また、首長からはそれを受けて議会を解散することができると定められております。
それぞれ共に「民意の反映」ということができる市長と議会に関しては、その相剋関係がこのように明確に定められていることによって、それぞれの正当性に関する矛盾をさばき、牽制関係を成立させることができております。
議案第181号に上程されている条例は、いわば「選挙を経ない民意」という第三の権力を発生させることを強く後押しすることになりますが、その''第三の権力と、議会と、首長の三者の相剋関係が極めて不明確''です。とりわけ、これまで「民意の反映」としての役割を自任してきた議会のこれからの意義や役割については、この内容の条例を制定するのであれば、同時に明確に規定する必要があると思います。つまり、議会基本条例の制定も視野に入れた、体系的なスキームの中で制定されるべき条例だったといえるでしょう。
二点目、継続審査が必要だと申し上げるもう一つの根拠は、この条例が施行された場合の行政運営に関するシミュレーションが不足しているという点です。
条例案の第2条において、「市民」および「市民等」という用語には、明確に定義が設けられております。
「市民」は「市内に住所を有する者」であり、「市民等」は、それ以外に、「市内の事務所または事業所に勤務する者、市内の学校に在学する者及び市内で活動し、または事業を営む者」を含む者とされています。
であるならば、意見提出や政策提案を受けるに際しては、その提出者に関して「市民」ないしは「市民等」の要件を満たしているのかどうかの厳格な審査が必要となってきます。
普通選挙においては、公職選挙法19条以下に規定されているとおり、選挙人の資格を公証する目的で選挙人名簿が作成されており、それに登録されている者しか投票できないと法律で規定されております。当然、資格のない者が資格を偽って投票行為をした場合などには厳しい罰則が定められております。これに倣うのであれば、市民の意見や政策の提出を受けるに際しては、内容の審査のみならず、その提出者に関する極めて慎重な審査が必要となってきます。
このことは、膨大な事務量増加に繋がる可能性を秘めており、これらのことによって、行政運営の機動性の低下を招くことはないのだろうか、という不安を払拭できるほどには、運用状況のシミュレーションがじゅうぶんではない、と考えております。
このような、制度上の権力の相剋関係が不明確になるという問題と、運用上の事務量増加に対する対策がじゅうぶんではないという問題から、我が会派はこの議案をさらにじゅうぶんに議論し、より品質の高い条例としたうえで制定すべきだと主張いたします。
この条例は、その意義からして、基本条例的な極めて重要な条例だと言えます。その趣旨である「市民の参画と協働の推進」に関しては、この議会のすべての議員が当然歓迎すべきことだと言えるでしょう。
だからこそ、この条例案の制定に際しては、党派を問わず議会のすべてから歓迎されるべき品質になるまで議論を続けるべきです。実際にこれまでの当局とのやりとりの中において「条例案じたいには問題も多々あるだろうが、運用していく中でその問題も解決されていくだろう」という発言もありました。
条例の趣旨からして、「問題も多々ある」と当局も認めているような条例案を今議会で強引に成立させようとしてきた当局の態度は、極めて乱暴で拙速、また、かえってこの条例の趣旨と哲学を冒涜する行為であると言わざるを得ません。
我々議会は、西宮の地方自治の品質を保つ最後の砦として、この条例案に関しての議論をさらに続けるべきだと訴えます。
以上、議案第181号を継続審査とすべきという動議と致します。







