■profile
今村岳司/いまむらたけし】
西宮市議会議員/3期目 1972年、西宮市生まれ。 甲陽学院高・京都大法学部卒■浜学園講師・リクルートを経て99年、市議トップ当選(26歳)

Copyright © 2005 XDL, All Rights Reserved.

2008年3月

人口急増問題

 冒頭にも申し上げましたように、昨年の代表質問でも同様に、人口増加を手放しに歓迎する西宮市政に対して厳しく警告を申し上げましたが、やはり現在の経営陣は拡大主義・成長主義から抜け出せていないようです。

人口推計に基づく将来の福祉関連経費の試算

 昨年6月に総合企画局は、「西宮市の将来人口推計報告書」を作成しました。私はそれに基づいて独自に将来の行政需要を推計し、政策課題を整理してみることにしました。平成19年に46万9千人の西宮市の人口は平成30年には50万6千人になると推計されています。うち高齢者は11万3千人、後期高齢者は5万4千人と推計されます。
 まずは、介護保険関連の推計をみてみます。要介護認定者の認定率は近年安定している状況から15.7%で固定して試算し、介護予防効果を国指針どおり見込むと、介護給付費の総額は平成19年度の185.1億円が平成30年度には266.1億円になり、うち市負担分は23億円から33億円に10億円アップすることになります。
 生活保護扶助費を見ると、保護率12.31%で固定した場合、保護者数5844人が6225人になり、金額は102億円が109億円に7億円アップすることになります。
 後期高齢者医療費は、年齢到達と障害認定の合計が伸び率を低いめのヨミ102%で計算しても3万8千人から5万4千人になります。一人あたりの給付費はこれまでの平均伸び率103.8%で計算すると86万円が131万円になります。
 この数字を根拠に、公費の8.3%である市負担の額を見ると、14億円が29億円と、15億円アップすることになります。
 上記、介護保険と生活保護と後期高齢者医療費の3つの市負担だけで、平成18年度から平成30年度の12年で32億円アップすることになります。

税収の伸びの分析

 一方で、税収の伸びはさほどではありません。決算シートから分析すると、ここ10年で1人あたりの税収は75157円から76495円と2%しか増加していないのに比して、1人あたりの扶助費は31827円から51365円と61%も増加しています。
 つまり、「人口が増えると税収が増える」というのは嘘ではないがまやかしで、税収が増える以上に財政支出は増大していくのです。

以上の話を踏まえて質問します。
一点目。

(1)今後の人口と行政需要の予測、それに対する対応策、財政その他の裏付けに関してお答えください。
(2)持続可能な都市経営のために、直近には急激な人口増加を緩和する政策をとるべきだと思うがいかがお考えか、お答えください。

南部36小学校区中14校区が受入困難予測地区以上。

 一方、人口増加が現実にいま見える危機として現れているのが、先ほども少し触れた学校の受け入れの問題です。 現実に南部36小学校中14校が受け入れ困難予測地区以上に指定されています。まともに義務教育を受けられないなど、行政サービスとしては最低限以下だといわざるを得ません。ましてや文教都市の看板を掲げてきた西宮ならなおさらです。
 しかし、12月議会で、議会全会一致で採択された、大社小学校区の校区変更の延期を求める陳情15号は完全に無視され、校区変更は強行されました。それは議会への報告もないまま1月25日の市政ニュースで何事もなかったように報じられました。12月定例会での議論も、陳情が全会一致で採択されたことも、すべてを無視して一方的な行政運営がなされました。
 我々議会人はすべからく市民の一票の積み重ねによってここにあります。その議会の全会一致の陳情を踏みにじるという教育委員会の行為は、議会制民主主義自体を踏みにじる赦しがたい行為といわざるを得ません。当局は大社小学校区の人口急増による課題に関して、何の対策も講じず、新たな調査も研究も行わず、ただただ無策に放置し、校区変更を強行したのです。

受入困難地区について

 この問題は大社小学校区ひとりの問題ではありません。現在、受け入れ困難地区と準受け入れ困難地区には要綱に定められた開発規制条項が存在しますが、予想地区に関しては何の規制もございません。現実に予想地区から準受け入れ困難地区へ、準受け入れ困難地区から受け入れ困難地区へと状況が深刻化する校区が相次ぐなか、予測地区に関する規制が全くないのは問題です。そもそも、現在の対策はただの「要綱」であり、法的強制力は存在しません。現在は開発業者がその要綱に基づく指導に従っている状態ですが、強引にこの要綱が破られた場合には、どうしようもありません。ひとつ要綱が破られるという事例が発生すれば、きっと全市で堰を切ったように要綱は有名無実化するでしょう。
 この問題が現実的なのが深津小学校区です。山手幹線とJRの間の広い空地が、西宮北口の阪急の開発完了によって周辺が活性化してこれば、一気にマンション乱立になるでしょう。そうすれば、小規模校である深津小学校は、とたんに受け入れ困難校になるでしょう。これが要綱程度で止められるでしょうか。
 大社小学校はどこまでいっても風致地区です。環境や景観を無視した開発はいずれにせよ住民の反対によって難しいでしょう。こう考えれば、今後の超大規模開発の可能性も低いかもしれません。
 しかし、周辺に住宅のきわめて少ない深津小中周辺は空地が多く、大規模開発が予想されます。要綱程度で開発を止めることは不可能でしょう。そうなれば、全市でなし崩し的に要綱破りが行われるようになると思われます。これは、阪急の開発が完了すれば一気にくる流れだと推測されます。本格的な対策を用意するべきです。
 だからこそ、あらゆる投資的事業の中でも学校環境の改善が重視されるべきなのです。西宮は文教都市だからです。
 また、大社小学校区の件で当局が自ら繰り返してきたのが「良好な教育環境の確保」ということばでした。今後の高齢化社会を支えるためにも、将来の西宮を支える子育て世代にとって住みやすいまちにしなくてはなりません。ならば学校の校地拡大を市の重点施策として打ち出すべきではないでしょうか。大社小学校の校区変更のときにも、「良好な教育環境の確保」をいう教育委員会なら、狭い大社小学校の校地を拡大することができないか検討すべきだったはずです。さらに将来、子供が減少した際にはいちど拡大した校地を売ればいいのです。

 市当局はこのまま人口増加を歓迎する政策を、都市の成長に関して全く無管理な政策を、これからもとり続けるのでしょうか。明らかに、急激な人口増加によって、西宮のまちのキャパシティを超えつつあります。もしかすれば50万人のキャパシティがあるのかもわかりませんが、少なくとも、西宮市当局の行政のキャパシティを超えるのは火を見るより明らかです。このことを考えても、いったんは急激な人口増加を抑制する方針に転換し、何らかの対策をとるべきです。
 また、長期的視野に立てば、高齢者層を支えるための望ましい人口年齢比率を設計するべきであり、そのための誘導施策を実施するべきなのです。

二点目の質問です。
受け入れ困難地区についてです。

(3)行政方針でも、「今後も教室不足が生じる校区の発生が見込まれるため、これらの地区においても住宅開発を抑制する方策等について、早期に検討して参ります」とありましたが、「予測地区」に関しても何らかの対策が必要、と考えるがいかがお考えか。
(4)要綱を条例化するなどの規制強化対策が必要、と考えるがいかがお考になりますか。
(5)要綱が無視されるような事態、が起こったときの対応はどう考えているのか。
(6)校地拡大を明確な重点施策として打ち出す必要、があると思うがどうかお答えください。

市営住宅

 人口急増問題に関連して、市内20万世帯のうち1万世帯を占める市営住宅に関してです。上記のことより、単に住宅を提供するという施策は西宮にはもう不要であるという観点から質問いたします。
 昨年6月議会で、市営住宅はこれから真の弱者のための福祉であるべきだと訴えました。抽選で当たったり当たらなかったりするような福祉など存在するべきではありません。これからの高齢化社会に対応するために、高齢者・障害者をまちをあげて見守っていくための福祉ユニットとして存在すべきだと主張しました。 ただ単に住宅を提供するという意味での福祉なら、該当者全員に公平に給付される生活保護の住宅扶助で救済されるべきだからです。
 その議会でも訴えましたが、今後の市営住宅行政に関しては明確な指針が必要です。名義承継を禁じ、個々の独居老人や障害者のための公平な福祉施策として位置づけられるべきです。

三点目の質問です。
ここで市営住宅行政に関して質問いたします。

(7)今後の市営住宅のあり方をどう考えているのか、改めてご答弁下さい。
(8)現在計画されている甲子園九番町と春風の市営住宅建て替え計画のコンセプトはどうなっているのか、お答えください。

答弁の要旨:

人口・行政需要に関して

  • 人口増加は平成30年度まで続くと予測している。
  • 次期総合計画における今後の需要予測と財源の予測については、将来人口推計をふまえ、財政フレームを作成中で、今議会で所管事務報告をする予定。
  • 人口増による行政需要にはおおむね対応できると考えている。
  • 人口増に伴う財源不足という観点から人口の緩和策をとることは現実的でない。

受け入れ困難地区に関して

  • 指導要綱での規制強化を早急に検討する。
  • 建設規制の条例化は現在の法体系では困難であり、できない。
  • 要綱を破られた場合の対応、法的な強制力という意味ではおのずと限界がある。
  • 校地の適正規模を確保できない場合や狭小な敷地などにより増築等での対応がきわめて困難な場合に、新たな用地の確保も必要と考えている。 市営住宅に関して
  • 収入超過者・高額所得者への対応や不正・不適正入居の解消、真に住宅に困窮しているものに対し優先した入居方式の導入、高齢者・障害者および子育て世帯等への優先枠を現在の約3割から5割に向けて拡大、の三点を検討している。
  • 甲九と春風の建て替えコンセプトとして、安全で高齢者に配慮したバリアフリー仕様、建て替え事業については廃止した団地用地を処分し財政負担を軽減、余剰地を創出し、福祉施設の併設の検討(健康福祉局と協議中)、緑豊かな良好な都市景観の形成がある。

要望・意見:

人口・行政需要

 財政フレームについて、私の試算ではきわめて悲観的なものになっていますが、当局が十分に対応できるというならば、楽しみにしておきましょう。しかし、これまで財政運営に関しても常に当局は「大丈夫だ」といい、結局破綻したものを見せられてきました。なので、これまでの将来推測とは違うということをきちんと説明していただきたい。と要望しました。
 もし、それが国の交付税や臨時財政対策債をあてにしているとすれば、大変危険です。国の制度や方針などすぐ変わるし、実際にそれに振り回されてきている。だからこそ基金をきっちり積んでおけ、と言っているのです。
 「人口増による行政需要におおむね対応できる」という答弁があったが、だったらいまから大社小学校の校区変更を白紙に戻せ、という話です。彼らは「大社小学校に通学する」という、ごく普通の希望すらかなえられなかったのです。「行政需要への対応」ということのとらえかたが甘すぎます。
 長期的には高齢化社会を支える若年層の人口増加は歓迎すべき。しかし、現実にいま、彼らへの行政サービスが提供できていないから、このようなことを言っているのです。

受け入れ困難地区

 要綱を破られたらおしまい、なのは当然です。要綱は所詮、業者に対する市のお願いでしかないからです。だからこそ校地拡大を重要政策としてうちだすべきだ、といってるのです。深津小学校も将来は校区変更されるのでしょうか。
 校区変更などは、やってはいけない最終手段。にもかかわらず、とるべき他の手段がいくらでも残っていた大社小学校では何も考えず、努力もせずに簡単に校区変更した。明確な対応策を教育委員会は出すべきだし、12月議会でも私が申し上げたように、全庁的な対応をすべきです。
 それにあたって、「学校受入困難非常事態宣言」を出すべきです。これまでの無策を恥と忍んで施策に取り組むために。国の法律の想定以上に西宮の状況は困難を極めており、超法規的な対応が必要です。また市民に対するアピール・業界に対するアピールにもなります。そして、戸あたり面積規制(=戸数制限)を受入困難予測地区以上に適用すべきではないでしょうか。

市営住宅

 高齢者・障害者への優先枠拡大は非常に評価できますが、「公正・適正な入居の推進」はかなり明確にやってほしいし、やっているというアピールを明確にする必要があります。なぜなら市営住宅は常に不公平行政の代名詞であり続けているからです。
 福祉ユニット的な建て替えは非常に評価できますが、答弁の中にあったような「余剰地の処分による財政負担の軽減」を計算して、今後の市営住宅建て替えに関する長期計画を早期に出すべきです。また全体戸数を絞り、単なる住宅提供から福祉ユニットへと明確に方針を変更すべきです。今後の建て替えに関してはこのように「余剰地を売った財源で建て替える」という方針でやってほしい。そうでなければ、とうてい実現できない計画になります。

policy一覧へ戻る