2006年1月
高校入試制度改革に関する意見書を提案。
議会で採択されました。
(soushikai press No.25より)
西宮学区の公立高等学校の入学試験において、総合選抜制度を改め、複数志願制度を早急に導入することを求める意見書(案)」を議会に提出し、過半数の賛成を得て可決されました。
現在兵庫県は、平成20年度までの5ヵ年計画で、「県立高等学校教育改革第一次実施計画における後期計画」を推進しています。
この計画と地域の意向に基づいて、総合学科や単位制高等学校など新しいタイプの学科・学校の設置や、普通科や専門学科などの特色化、新しい入学試験選抜制度(複数志願制度)の導入などを進めています。
そして昨年は、西宮市の市民意識調査において、アンケートを受けた市民のうち多くが、現在の総合選抜制度を改善すべきとの回答をしました。
一方で、市民の代弁機関である市議会は、総合選抜制度を維持すべきなのか、それとも改善すべきなのか、明確な意思を示すことができていませんでした。私たち蒼志会も、長年改善の必要性を議論していたのですが、具体的な行動に移せていませんでした。
しかし、平成20年度までの計画の中に西宮学区が対象にあがらなければ、総合選抜制度の改善は実質困難となります。行動を起こすのは昨年中が最終期限であると判断し本格的に制度の研究を行い、意見書案を作成し、会派からの意見書提出に踏み切りました。また、議会への提出を前に、公明党・政新会・にしまちネットの賛同を得て、4会派合同で、議会への提案も行いました。
この意見書案についての議論の前に、全教西宮教職員組合等の団体が、共産党上田さち子議員、市民クラブ岩下彰議員の紹介をもって、総合選抜制度を固守する旨の内容が記された3つの請願が提出されました。これらは、市民文教委員会において詳細に審議され、総合選抜制度を固守する旨の請願はすべて否決されました。審議にあたっては、たった400人程度の声(市民意識調査におけるアンケート回答数。ちなみに否定派・改善派をあわせると951名)で判断するのはいかがなものかといった、市民の意見を軽視しているともとれる発言も見られました(無所属高橋議員)。
そして、本会議においては、抵抗勢力からの質問に対し、筆頭提案者となった蒼志会が答弁を行いました。質問の中には、もっと慎重に協議して、結論は先に延ばすべきではないかといった趣旨のものがありました(甲雄会幹事長嶋田議員)。直接影響を受ける子どもたちや保護者のことを全く無視した発言だといえます。議会における結論・態度の表明が1年遅れれば、丸々1学年の生徒たちが無視されることになるからです。
議会や教育委員会において綿密に研究・議論を重ねることはもちろん必要ですが、1日でも早く方向性を決定し、制度設計や説明を実行に移すべきだと考えています。一方、共産党は、一貫した政策理念を持っており、総合選抜制度を維持すべきとの態度を明確に示しているため、考え方の根本的な不一致を感じさせる質問が大半でした。
しかしそうした質問に対しても、真摯に答弁を続けた結果、本意見書が賛成多数で可決されることとなりました。
県立高等学校の入学試験選抜制度の決定権は県教育委員会にあり、市立高等学校もその制度に準ずることになっています。よって、あとは県教育委員会の決定を待つことになり、市議会としての役割は果たせたと考えています。
■特色ある高校づくりのための入試制度改革
蒼志会は長年、高校入試改革をすべきだと考えてきました。高等学校は義務教育ではありません。だからこそ、勉強が得意もしくは好きな生徒は進学校へ、スポーツが好きな生徒はスポーツに力を入れている学校へ、芸術が好きな生徒は芸術を重視した学校へ、それぞれ進学し、同じ志向の生徒が集まって、それぞれのレベル・ニーズに応じた教育を受けることが理想です。そのためには、特色のない公立高等学校を生み出した総合選抜制度を改善しなくてはならないと考えてきました。
多くの保護者の方からも「大阪や神戸と違って、行きたい高校を選べないのはおかしい」「学費の安い国公立大学への進学を希望していると、安心して公立高校へは進学させられない。同じ納税者であるにもかかわらず、事実上、私立高校への進学しか選択肢が残されていないのは納得しがたい」「子どもがいるので総合選抜制度を採用していない他市への引越を考えざるを得ない」といったご意見を頂いてきました。
一方、兵庫県でも現在、特色ある公立高等学校を整備すべきであると考え、県立高等学校教育改革第一次実施計画に取り組んでいます。
そこで、総合選抜制度の長所を残しつつも、特色ある学校づくりが可能となり、生徒が行きたい学校を選べる複数志願制度の導入を早急に図るべきだと、蒼志会は考えています。
■各入試制度の特徴を対照表で比較
| 総合選抜制度 | 単独選抜制度 | 複数志願制度 | |||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 選抜方法 |
・各学区内の公立高等学校の定員数が合格者数になる。 ・西宮学区は上位10%のみ自由に公立高校を志願できる。残りの90%は学区内のいずれかの高校に通学事情や特殊事情を考慮した上で振り割られる。 |
・各高等学校が定員数・合格点を決め、受験生の合否を決定。 |
・学区内において二校まで志願することができ、第一志望を優先にして合格者を決定。 ・第一志望校には加算点が加えられる。 ・第二志望校は素点をもとに受験生の合否を決める。 ・第一、第二志望に不合格でも総合得点によってはいずれかの公立高校に合格できる。 |
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| ・尼崎学区、西宮学区、宝塚学区、伊丹学区、明石学区で採用 | ・神戸第一芦屋学区、神戸第二学区、丹有学区、西播学区、淡路学区で採用 |
・神戸第三学区(H15年度より導入) ・姫路福崎学区(H17年度より導入) ・加印学区(H18年度より導入) ・北播学区(H19年度より導入) |
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| 選抜制度の特徴と受験生への影響 |
●学校を自由に選択できない。 (選択の自由は募集定員の10%のみ可能。) ●どの学校に入学するかがわからないため不安が発生する。 |
○学校を自由に選択できる。 (近隣の学校に行きたければその学校を志望すればよい) |
○学校を自由に選択できる。 (近隣の学校に行きたければその学校を志望すればよい) |
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○受験競争がなく、ゆとりある中学生活が送れる。 ○一定以上の成績ならほぼ確実に高校進学が可能。 ●上位層は私学志向が高まり、その層には受験プレッシャーが強い。 |
●全ての生徒にとって、受験プレッシャーは強い。 ●志望先によっては合否リスクが高くなる。 |
○受験プレッシャーはあるが、一定以上の成績なら、進学が可能。 第一志望には加算点が加えられるため合格しやすい。第一志望に不合格でも、素点さえ足りていれば第二志望に合格できる。また一定の点数があれば第二志望以外の高校に進学できる。 ○セーフティネットがあるため、第一志望に挑戦しやすい。 |
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○高校間の成績による序列ができない。 ●成績上位層が私学に進学する傾向が強いため、公立と私学とのレベルの格差が開く。 |
●学区内で学校間格差が生じる。 →偏差値偏重になる恐れがある |
●学区内で学校間格差が生じる。 =高校の個性・特色で選択されるに従い、学校間の格差が広がる可能性がある。 |
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●高校内の学力差が大きいため、切磋琢磨しながら勉強できない恐れがある。 ●競争意識が乏しく、目標に向かい努力する態度や学習への厳しさを欠く。 ●公立高校を志願する場合、そもそも進路を真剣に考える必要がない。 |
○校内では、周りと学力がほぼ同等のため、切磋琢磨しながら勉強できる。 ○競争意識と、目標に向かって努力する態度がある。 |
○校内では、周りと学力がほぼ同等のため、切磋琢磨しながら勉強できる。 ○競争意識と、目標に向かって努力する態度がある。 |
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| 志望高校以外に合格する可能性 | ●選抜制度の仕組みから、必ずあり、毎年、不本意入学者が生まれている。 | ○学区内の各高校が単独で選抜を行うという制度上、ありえない。 |
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| 高校の特色化 | ●高校特色化への努力が生徒募集に反映されにくい。 =学校の特色化が進まない。 |
○受験生が自由に学校を選択するので、各高校の個性化・多様化が進みやすい。 |
○受験生が自由に学校を選択するので、各高校の個性化・多様化が進みやすい。 各校の特色ある教育内容に即して生徒を募集する「特色選抜」も実施されている。 ○受験学力だけによらない学校選択が進んでいる。 *アンケートによれば決め手の1位は「校風・雰囲気」 |
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| 校内の学力差 |
●校内の学力差は大きいため、生徒ひとりひとりに合わせた学習指導が困難。その結果、学力上位者に不満が生じやすい。 ○多様な生徒がいることで、高校に活力が生まれる。 |
○校内の学力差が小さく、学習指導がしやすい。また、トップ校では、健全なライバル意識から、切磋琢磨される環境が形成される。 ●学力下位の学校では、学習意欲の低下が生じやすい。 |
○校内の学力差が小さく、学習指導がしやすい。 ○目的意識を持って、入学してくる志気の高い生徒は高校に活力を与える。 |
意見書の全文紹介
※特に議論となるところ(赤字下線部分)はクリックしてください。詳しいデータなどがPOP-UP表示されます。
西宮学区の公立高等学校の入学試験において、総合選抜制度を改め、西宮学区の公立高等学校の入学試験において、総合選抜制度を改め、複数志願制度を早急に導入することを求める意見書
西宮学区の全日制高等学校の普通科においては、長年、総合選抜制度で入学試験が行われてきた。この制度は、受験競争が緩和され、高校間の格差もなくなり、中学生にとっても、高校生にとっても有意義な学校生活が送れると考えられてきた。
しかし、この制度が始まった頃とは状況は大きく変化し、新たな課題が生まれている。当初は、西宮学区に県立高等学校2校、市立高等学校1校の3校だけであったが、その後、生徒数が増加し、学校数も昭和58年の県立西宮甲山高等学校の設立で全日制公立高等学校は8校となった。しかし、最近では生徒数の減少も目立ち、ピーク時に比べて半分以下の規模になっている学校もあり、公立高等学校の活気が乏しくなっている。また、高等学校の設置場所と入学生徒の分布状況との関係で、居住地に近い学校に入学できない生徒が多数生まれている。他にもこの制度に対する課題が指摘されるようになっている。特に学校を自由に選べないことは大きな問題である。特色ある学校づくりや個性の伸張が高校改革の目標に掲げられているが、「どこに行っても同じ教育が受けられる」「格差のない学校が作れる」という総合選抜制度の特色は、今や特色ある学校づくりになじまないものになってきている。
能力や希望にあった教育を求めて私立高等学校や他学区の専門学科等へ進学する生徒が増加しているのは、このような選抜制度の課題が大きな要因であると考えられる。
このように課題が指摘される中で、西宮市では昨年、総合選抜制度に関する市民の意識調査が行われた。その結果では、「総合選抜制度を知っている」市民のうち、@「よい制度だが、改善すべき点がある」が36.2%、A「あまりよい制度とは思わない」が27.1%、B「よい制度なので現状のままでよい」は12.5%となっている。@とAをあわせれば63.3%であり、Bがわずか12.5%であることを考えれば、改善が早急に必要とされている調査結果である。
一方、県教育委員会は、総合選抜制度と単独選抜制度の両方の長所を取り入れた制度として、複数志願制度の導入を進めており、すでに、15年度に神戸第3学区、17年度に姫路・福崎学区で実施、18年度には加印学区で実施されることになっている。
西宮学区の公立高等学校においても、特色ある高等学校づくりを進めることで、生徒が自分の適性や進路希望等に応じて学びたい学校を主体的に選択でき、選択した学校で学ぶための努力をするとともに、自己の可能性を見つけ伸ばす力を一層養うために、早急に総合選抜制度を改め、複数志願制度を導入することは有効であると考える。
西宮市教育長は市議会で、「複数志願制度も視野に入れて検討する」と発言し、改革に向けての意欲を示している。しかし県立高等学校の選抜制度をどうするかを決める権限は県教育委員会にある。
よって、西宮市民の意識調査結果や県の高校改革の動きを鑑み、県教育委員会が西宮学区においても、複数志願制度を早急に実施されるよう強く求めるものである。







