■profile
今村岳司/いまむらたけし】
西宮市議会議員/3期目 1972年、西宮市生まれ。 甲陽学院高・京都大法学部卒■浜学園講師・リクルートを経て99年、市議トップ当選(26歳)

Copyright © 2005 XDL, All Rights Reserved.

2006年6月

「無防備宣言都市条例(案)」への反対討論

■西宮市平和・無防備都市条例(案)に対して蒼志会は反対し、条例案は議会で否決されました。

7月4日に市民団体が「西宮市平和・無防備都市条例」(以下、無防備都市条例)の制定を請求したことを受けて、市議会は6月定例会の会期を延長して条例案を審議し、反対多数で否決されました。
条例制定直接請求というものは、地方自治法に定められた手続きで、有権者の50分の1以上の連署をもって、市長に対して条例制定の請求ができるというものです。
この条例案に対して、蒼志会は反対し、7月13日に今村岳司議員が反対討論をおこないました。

■なぜ蒼志会は反対したのか。

この条例案は『ジュネーヴ諸条約第1追加議定書第59条を根拠とする「無防備地区」の宣言を地方自治体が行えば、攻撃してはいけない地域として国際的に効力を有します』(西宮市Webサイトより)というものです。
蒼志会も、もちろん平和を希求する気持ちは全メンバー同じです。しかも、この条例案は18,051人の署名を添えて提案されているものであり、市民の平和を希求する気持ちは無論尊重します。しかし、蒼志会はプロの議員として、合法的で、実効性のある条例を制定する責任がありますので、条例案に反対しました。そのロジックを解説します。

■反論@:この条例案は現行の法律に違反している。

  • 地方自治法で国は「国家としての存立に関わる事務」「全国的な規模で若しくは全国的な視点にたっておこなわなければならない施策」を担うとしており、地方自治体が条例で独自に国防施策をおこなうことはできません。
  • 自衛隊法は自衛隊が国の管轄であることを前提としており、自衛隊の活動を地方自治体権限により規制することができません。
  • 国民保護法・武力事態対処法では、地方自治体は有事に際して国の活動に協力する責務があることを規定しています。
  • 以上のように国の法律に抵触する条例案なので、地方自治法第14条(法令に反する条例は作っても効力を有しない)により、この条例を制定することはできません。

■反論A:この条例案を制定しても無防備地域宣言はできない。

ジュネーヴ条約に謳われている、無防備地域宣言をするための4条件を満たすことができないため、宣言をすることができません。

  • 条件(1)すべての戦闘員並びに移動兵器及び移動軍用設備が撤去されていること
  • 条件(2)固定した軍用の施設または営造物が敵対目的に使用されていないこと
上記2条件は、軍用設備等の使用・設置が国の管轄であり、また国民保護法等によって、有事の際、地方自治体は国に協力しなければならないと定められていることから、国の方針と無関係に市の権限でこの条件を満たすことができません。
条件(3)当局または住民により敵対行為がおこなわれていないこと
侵略を受けたような場合には、レジスタンスのような、住民による自発的敵対行為が当然予想されます。これらを条例で規制するのは事実上不可能です。
  • 条件(4)軍事行動を支援する活動がおこなわれていないこと
条件(1)・(2)と同じく、国民保護法等で、地方自治体は国を支援する活動をおこなわなくてはいけないと規定されています。
以上のように条件を満たすことができないため、無防備地域宣言をすることが不可能です。
赤十字国際委員会のコメンタールに拠れば、地方自治体が宣言をすることができるのは宣言主体である政府が消滅し無政府状態になった場合です。しかし、条例案は無政府状態とはいえない状況を想定しているため、宣言できません。


■反論B:「無防備地域宣言」では、実質的に西宮の安全が守れない。

  • ・根拠とされているジュネーヴ条約はたびたび破られており、有事の際にこの条約によって西宮の安全が守られる保障がありません。
  • ・そもそも根拠が国家間の取り決めである「条約」であり、反政府武装勢力やテロ組織に対しては効力を有しません。

■プロの議員であり続けるために

討論している今村議員に対して感情的に野次を飛ばす傍聴者が多数いました。また、条例に賛成する議員による「法律的には問題はあるが賛成」という討論もありました。どちらも論理性に欠けた行動です。
この活動は全国的に広がりを見せております。その歯止めとなることを期待して、この論理的な反対討論が、おこないました。我々はあくまでもプロの議員として活動していますので、議会では論理的な議論を続けていきます。

■詳しい反対討論は以下のサイトで公開しております。 http://xdl.jp/hantaitouron/


policy一覧へ戻る