2003年12月
三重県庁の取組みに見る、行政改革についての提案
行政改革の最大の先進事例である三重県庁に調査にいってきたことをもとに「顧客満足視点」をベースにした「行政経営」発想の行政改革についての提案をしました。
三重県庁では「政策推進システム」と「行政経営品質向上運動」の2本の施策を軸とした行政改革に取り組んでいます。
行政の世界では、あらゆる政策・施策・事業の目標が抽象概念での記述にとどまっているのが一般的です。そのため、各事業においても落としどころ・達成点が不明確でした。そのすべてに数値目標を設定し、その目標の達成のための組織システムに改革しました。それが「政策推進システム」です。
そのシステムの導入に伴い、事業分野ごとに「課」として縦割りになっている行政の組織を施策ごとに分けた「チーム」に編成しなおしました。「課長」は廃止され、チームのリーダーである「マネージャー」はチームの目標達成を「経営」するという責任を負うことになりました。課長級職員の中で経営ではなく事業の遂行に携わりたいという人材に関しては希望降任制度も設定されています。また、チームの集合体である「部」に予算と人事に関する権限が委譲され(全庁内の決済案件の9割はマネージャー権限)部内での人事異動などに融通がきくようになったため、達成するべき案件に応じて「プロジェクトグループ」を設置することなども可能になりました。つまり、部への権限の委譲により、各課が財政当局に予算要望をして綱引きをするといったこともなくなり、財政課と人事課への権限集中を解消することにもなったわけです。
チームの目標達成をすべての職員が追求するという組織にしたことによって、いろいろな意識改革もおこるようになりました。まずは時間などを有効に活用するようになったことです。「何時間働いたか」ではなく、「目標を達成したか」で判断されることから、長時間働くことの価値はなくなりました。また、部下を管理するのではなく目標を管理する組織になったため、組織がフラットになりました。「飲みにつきあう」のではなく「ランチミーティング」などでメンバーのことを把握するようになりました。
また、それぞれの政策・施策・事業を「市民にどれだけの価値を提供しているか」という「顧客本位」で価値判断していこうという運動を始めました。それが「行政経営品質向上運動」です。(財)社会経済生産性本部の「日本経営品質賞」のアセスメント基準の導入により、県庁のしごとのそれぞれを顧客の視点から価値判断するようになりました。また、庁内職員の「アセッサー」育成にも力を入れており、ほとんどのマネージャーはその資格を持っているそうです。
この2本の柱の行政経営によって、それぞれの職員のミッションマネジメントとナレッジマネジメントの徹底、若手人材の登用と育成、経営資源の有効活用意識などが生まれて、いまや、三重県庁は組織経営ということにおいて、三重県内企業の「お手本」となっているといっても過言ではありません。
現在本市では財政難などから、「総合計画の改定」なども叫ばれています。しかし、ほんとうの改革は、そんな抽象概念をさわって「言葉遊び」みたいなことをしても絶対に達成されることはありません。三重県でも、数値目標が取り入れられた「政策推進システム」は総合計画を改定して作ったわけではなく、別の指標として設定されました。もちろんそれまでにあった総合計画との不整合はあったそうですが、それは各現場で対応してきたそうです。事務ロスの多い「総合計画の改定」などはまさしく時間と人材などの経営資源のムダといえるでしょう。 いまこそ、本市でも「政策推進システム」の研究に入り、できるだけ早期の実施(当初は総合計画と並行運用)を目指して運用を開始するべきであると提案しました。
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